研究課題
基盤研究(C)
本研究では、細胞外基質の1つであるECM1が皮膚癌の周辺微小環境を整え、癌の多彩な間葉転換と免疫回避能の制御に及ぼす役割を解析する.さらに細胞外基質の機能変化を発端とする新たな癌寛容機構の解明を目指す.ECM1欠損マウスの皮膚に種々の担癌状態を誘導し、癌の生着能と進展様式を評価する.癌微小環境の細胞外基質と免疫担当細胞の変化を網羅的に解析し、特定の細胞外基質に依存する癌の免疫応答と進展の機序を理解する.これらをヒト皮膚癌と比較し、ECM1が皮膚の老化発癌を制御する癌間質マスター分子である可能性を追求し、周辺間質分子の標的治療を視野にいれた臨床応用の基盤の構築を目指す.
ECM1欠損マウスに皮膚由来癌細胞株(有棘細胞癌、黒色腫)を植え付け、癌細胞の局所維持と進展機構を解析した。コンベンショナルな手法でECM1遺伝子欠損マウスを作成したが、全例が胎生期に死亡した。この結果は、ECM1が単なる疾患感受性遺伝子ではなく、発生学的にも重要な分子であることが確証された。次に、コンディショナルKO法による臓器特異的なECM1欠損状態を作成、さらに培養皮膚線維外細胞をsiRNA法でECM1遺伝子のみを欠損させて解析した。ECM1のKOヒトモデルである皮膚粘膜ヒアリノーシスは、胎児致死や生命予後に影響を及ぼさない遺伝病であり、本結果は種間の異なるECM1機能を示していた。
本研究の成果が癌間質分子を標的とする創薬に結び付いた際には、癌自体を標的とする既存の抗癌剤との併用も可能な作用機序である点からも、相乗効果や耐性の獲得を一層回避できる治療戦略を構築できる可能性が高く、学術的にも社会的にも貢献度の高い研究テーマであると考えている.
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件)
J Dermatol
巻: 50 号: 3
10.1111/1346-8138.16626
Diagnostics
巻: 6 号: 12 ページ: 3070-3070
10.3390/diagnostics12123070
巻: 49 号: 12
10.1111/1346-8138.16567
Front Surg
巻: 9 ページ: 915731-915731
10.3389/fsurg.2022.915731
Arthritis Research and Therapy
巻: 24 号: 1 ページ: 94-94
10.1186/s13075-022-02773-2
Mod Rheumatol
巻: 31 号: 1 ページ: 162-170
10.1080/14397595.2020.1751408
巻: 48 号: 6 ページ: 281-283
10.1111/1346-8138.15881
巻: 48 号: 6 ページ: 916-920
10.1111/1346-8138.15807
J Cutan Allergy Immunol
巻: 4 号: 4 ページ: 89-91
10.1002/cia2.12162