研究課題
基盤研究(C)
乾癬では脂肪肝炎や冠動脈疾患の有病率が高く、乾癬・脂肪肝炎・動脈硬化・心血管疾患相互のクロストークの存在が示唆される。食餌誘導性脂肪肝炎モデルにおいてIMQ誘導乾癬様皮膚炎が悪化すること、動脈硬化モデルであるApoE KOマウスでIMQ誘導乾癬様皮膚炎が悪化することが報告されている。一方で、乾癬が脂肪肝炎や動脈硬化/心筋障害を悪化させるかどうかは明らかにされていない。IMQモデルにおける一か月以上の実験は病型が変化し不適である。そこで本研究では、長期間の実験が可能な乾癬モデルであるK5.Stat3C Tgマウスを用い、乾癬が脂肪肝炎や動脈硬化/心筋障害を悪化させるかどうかを解析する。
乾癬患者では、脂肪肝炎や冠動脈疾患の有病率が高いことが報告されているが、乾癬が脂肪肝炎や動脈硬化/心筋障害を悪化させるかどうかは明らかにされていない。本研究では、乾癬モデルマウスであるK5.Stat3C Tgマウスを用いて、乾癬が脂肪肝炎や動脈硬化/心筋障害を悪化させるかどうかを解析した。高脂肪/胆汁酸含有食により脂肪肝炎を誘導させたK5.Stat3C Tgマウスでは、肝臓のマクロファージが増加した。高脂肪食を与えたK5.Stat3C Tg/LDLR KOマウスでは、LDLR KOマウスと比べ、大動脈起始部のプラーク面積が有意に増加し、乾癬の存在により動脈硬化が促進されることが示唆された。
臨床的に、乾癬患者において脂肪性肝疾患や冠状動脈疾患の有病率が高いことや、心筋梗塞のリスクが高いことなど、乾癬と他疾患との関連が報告されている。動物実験では、脂肪肝炎モデルマウスや動脈硬化モデルマウスにおいて、乾癬様皮膚炎を悪化することが報告されていた。しかし、乾癬が脂肪肝炎や動脈硬化/心筋障害を悪化させるかどうかの検討は行われていなかった。乾癬により、全身性に炎症性サイトカインが循環し、肝臓には脂肪肝炎、心血管には動脈硬化/心筋障害が惹起されるメカニズムが解明されれば、臓器間の慢性炎症のクロストークの悪循環を断ち切ることができる新規治療法の提案につながる可能性があると考えられた。
すべて 2024 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
巻: 30 号: 1 ページ: 100-104
10.5551/jat.63348
130008161257
International Journal of Molecular Sciences
巻: 23 号: 24 ページ: 15855-15855
10.3390/ijms232415855
Scientific Reports
巻: 12 号: 1 ページ: 2996-2996
10.1038/s41598-022-06542-8