研究課題
基盤研究(C)
ANCA関連血管炎(AAV)の疫学はヨーロッパ系集団と東アジア集団において顕著に異なり、東アジアではMPO-ANCA陽性AAVが大部分を占め、間質性肺疾患(ILD)の合併率が高い。われわれは最近、日本人AAVを対象とするGWASにより、多数の新規関連候補領域を見いだした。本研究では、独立の患者対照群によるsecond GWASとメタアナリシスにより新規関連バリアントを見出すとともに、機能的候補領域のシークエンス解析により新規関連バリアントの同定を行い、AAV発症およびILD合併の遺伝因子を包括的に検出する。さらに、ポストGWAS研究により、分子標的やバイオマーカー同定の端緒を開く。
日本人におけるANCA関連血管炎(AAV)発症と再燃、間質性肺疾患(ILD)合併に関連する遺伝子バリアントを解析した。ゲノムワイド関連研究によりILD合併にP<1E-04の関連を示す22バリアントを検出した。HLA-DRB1*09:01-DQA1*03:02-DQB1*03:03がMPO-ANCA陽性AAVの発症、再燃リスクに、HLA-DRβ鎖 position 13Serが再燃抵抗性に関連すること、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症にHLA-DRB1*07:01, *09:01が関連すること、PR3-ANCA陽性AAVにおいてヨーロッパ系集団と異なるSERPINA1アリルが関連することを見出した。
東アジア集団におけるAAVの疫学はヨーロッパ系集団と大きく異なる。本研究から、日本人AAVの大部分を占めるMPO-ANCA陽性血管炎の再燃リスクに関連するHLAハプロタイプが明らかになったことは、寛解後の維持療法の個別化に応用しうる知見である。また、これまで日本人集団では疾患感受性に関連しないと考えられてきたSERPINA1に、ヨーロッパ系集団とは異なるリスクアリルが検出されたことは、学術的意義の高い新知見である。さらに、ILD合併関連遺伝子のゲノムワイド関連研究により候補領域が多数見出されたことは、難治性病態であるILDに対する分子標的の発見に結びつくと期待される。
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