研究課題/領域番号 |
21K08458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
星野 克明 香川大学, 医学部, 教授 (50324843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 形質細胞様樹状細胞 / 希少糖 / サイトカイン / 単糖 / 自己免疫疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
形質細胞様樹状細胞(pDC)の産生するⅠ型IFNと、全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫疾患の病態は関連している。申請者は、香川大学が開発中の機能性単糖がpDCのⅠ型IFN産生を抑制することを発見した。本研究では、この機能性単糖によるpDC機能の抑制メカニズムを明らかにする。また、機能性単糖がマウス個体におけるpDCのサイトカイン産生を抑制できるか調べ、機能性単糖が自己免疫疾患の治療手段となりうるか、マウス病態モデルで検討する。本研究によって、SLEなどの自己免疫疾患に対し、pDCの機能制御剤として機能性単糖を用いる治療法など、ユニークな治療法への開発応用が期待される。
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研究実績の概要 |
マウス骨髄に含まれる造血幹細胞を、Flt-3 ligandを添加したRPMI1640培地で8日間in vitro培養すると、樹状細胞集団を分化誘導することができる。この樹状細胞集団中に含まれる形質細胞様樹状細胞(pDC)は、TLR7リガンド(1本鎖RNA)、あるいはTLR9リガンド(CpG DNA)の刺激に応じてサイトカイン(IFN-αおよびIL-12p40)を産生する。これまでの研究で、同刺激に伴うpDCのサイトカイン産生が、機能性単糖(希少糖:D-アロース)の濃度に依存して抑制されることを発見している。 In vitroで分化誘導したpDCだけではなく、マウス脾臓から分取したpDC、およびマウス骨髄から分取したpDCも、TLRリガンド刺激に伴うサイトカイン産生がD-アロースの存在下で減弱することを明らかにした。さらに、pDCの刺激により誘導される共刺激分子(CD86)の発現亢進が、D-アロースを含む条件下ではサイトカイン産生と同様に抑制されることを明らかにした。 昨年度は、D-アロースによるpDCのサイトカイン産生の抑制と、MAPKファミリーのリン酸化レベルの減弱が関連することを示している。MAPKシグナルの阻害がpDCのサイトカン産生を低下させることができるか、3種類のMAPKインヒビターを用いて調べた。その結果、p38 MAPKインヒビターが、サイトカイン産生を抑制することを明らかにした。D-アロースによりp38 MAPKシグナルの抑制が誘起されていると考えている。本機序を解明することが今後の課題である。 令和4年度は、これまでの研究成果を主にまとめて特許を出願し、続いて論文に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予想とは異なる方向に研究が進んでおり、希少糖によるpDCの機能抑制メカニズムを解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の立案時とは異なり、新しい機器(細胞外フラックスアナライザー)が本学に整備された。今後は、細胞外フラックスアナライザーを用いて、希少糖D-アロースがpDCの糖代謝系やATP産生に及ぼす影響を調べる予定である。また、動物実験については、イミダゾキノリン誘導型マウスSLE病態モデルを用いて、D-アロースの投与が病態の改善に有効であるか比較観察する予定である。
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