研究課題/領域番号 |
21K08460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新納 宏昭 九州大学, 医学研究院, 教授 (20380636)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 内科 |
研究開始時の研究の概要 |
T-bet+Beffは、加齢のみならず、感染症や自己免疫疾患などの病態における重要性が着目されている。ただ、これまでの知見から、ヒトT-bet+Beffは明らかにヘテロな細胞集団と予想され、さらに詳細な解析が必要である。また、全身性自己免疫疾患の病態とT-bet+Beffとの関連については、SLEにおける知見が現時点では中心であり、B細胞の病態における重要性が示唆されているRAやSScについても詳細な解析が必要である。また、T-bet+Beffの新規マーカーの探索などによって、高い病原性をもつB細胞の同定が可能となれば、新規治療法の開発の観点からも、本研究は貴重な知見を与えてくれる。
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研究実績の概要 |
本年度は、T-bet+エフェクターB細胞(T-bet+Beff)の特徴について以下のような研究を進めた。 (1) これまでの研究から、T-bet+Beffの分化誘導にはIFN-γとIL-21が重要な役割を果たすことが示唆される。そこで、これらのサイトカイン産生能が高いとされる濾胞性ヘルパーT細胞 (Tfh)ならびに末梢性ヘルパーT細胞 (Tph)とCD19+B細胞と共培養を行ったところT-bet+Beffが同程度に分化誘導された。また、これらの分化誘導はIL-21ならびにIFN-γに対する中和抗体の存在下では著明に抑制された。さらに、これらの共培養で誘導されるT-bet+Beffは通常のB細胞とは異なるCD21loCD11c+の表現型を呈していた。 (2) T-bet+Beffの機能的意義を抗体産生性の観点から検討を行った。TfhならびにTphとCD19+B細胞と一定期間の共培養の結果、CD38hiCD27hi形質芽細胞が同程度に分化誘導された。また、免疫グロブリンIgG産生について測定を行ったところ、Tphに比べてTfhとCD19+B細胞の共培養で高い傾向にあった。 (3) T-bet+Beffの機能的意義を抗体非依存性の観点から検討を行った。CD21loCD11c+のT-bet+Beffのサイトカイン産生能についてCD11c-B細胞との比較を行ったところ、IL-6, TNF-α, IL-12などの産生が高かった。 (4) 全身性自己免疫疾患の代表であるSLEの末梢血においてTfh, Tph, T-bet+Beffは健常人と比較して豊富に存在していた。また、TfhやTphでは細胞表面のCD69発現はSLEで高かったが、HLA-DR, CD38, ICOS, CCR2などの発現レベルは健常人と同等だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TfhやTphなどのCD4+T細胞との共培養の系を用いて、T-bet+Beffの分化誘導メカニズムと同時に、このB細胞サブセットの抗体産生性、抗体非依存性機能も明らかにできた。また、これらのT細胞ならびにB細胞サブセットの健常人とSLE患者での比較も行った。以上より、本研究の達成度としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
T-bet+Beffへの分化誘導にIFN-γ・IL-21産生性のCD8+T細胞の関与はあるのか、SLE患者の疾患活動性とT-bet+Beffとの関係あるのか、他の自己免疫疾患におけるT-bet+Beffの意義などについて、さらにさらに研究を進める予定である。
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