研究課題/領域番号 |
21K08472
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
細矢 匡 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (60737104)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | NF-κB阻害薬 / 関節リウマチ / NFkB阻害 / 副腎皮質ステロイド |
研究開始時の研究の概要 |
リウマチ性疾患では炎症が体内で持続することが問題になります。副腎皮質ステロイドは速やかに炎症を鎮静化できますが、免疫抑制による感染症や、骨粗鬆症や動脈硬化、筋委縮など、多くの合併症をもたらします。これまでに多くの薬剤が開発されましたが、ステロイドに代わる薬剤はありません。実は、ステロイドは生理的にも産生されているので、ステロイドの効果を増強させるような薬剤は理想的な抗炎症薬になるかもしれません。本研究では18万個の化合物からスクリーニングで見出した化合物を用いて、過剰な炎症のみを抑制し、ステロイドと協調的に働く薬剤の開発を目指します。
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研究実績の概要 |
本研究では申請者が先行研究で実施したスクリーニングにて見出した、NF-κBを抑制するリード化合物群をもとに、炎症性疾患の動物モデルを用い、発症予防の検討を行うとともに、リード化合物からの新規化合物の合成、ターゲット分子の同定、作用メカニズム解明を目指す。 2022年度は一つのリード化合物に注力して、さらなる動物モデルでの実験をすすめた。具体的には肝障害によって死亡する急性炎症モデルを用いてリード化合物の作用を検討したところ、TNFαの産生抑制と生存期間の延長を得ることができた。また、発症メカニズムの異なる二つの関節炎モデルを用いてリード化合物の作用を評価した。それぞれ、獲得免疫依存性・自然免疫依存性の関節炎を生じるが、興味深いことにリード化合物はいずれの関節炎にも有効であった。関節炎程度を軽減したほか、骨破壊、軟骨破壊を抑制し、炎症細胞浸潤も抑制していた。また、獲得免疫依存性関節炎モデルでは、リード化合物投与マウスに由来する免疫細胞では、抗原に反応して産生されるインターフェロンγの産生が抑制されていた。今後、リード化合物が標的としている細胞の同定を進めるとともに、ImmunoblotでNF-κB pathwayに関連する分子を評価することで化合物のNF-κBの抑制作用メカニズムの解析を進めていく。 また、東京医科歯科大学生体材料工学研究所と行っていた共同研究では、リード化合物からより有効性の高い誘導体の合成を試みていた。培養滑膜線維芽細胞株を用いてサイトカイン・ケモカイン産生抑制能を検討したが、Structure activity relationship(SAR)解析を行って作成した誘導体も含めて、これまでのところリード化合物が最も薬効が高いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特記すべきことなし。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で扱う化合物のうち、最も有望な結果を収めたのはHTSで見出したリード化合物のひとつであった。生物学的には複数の炎症モデルでの有効性を証明できたため、一定の成果を得ることができた。今後標的細胞や、作用メカニズムをより詳細に解明していく。 また、SAR解析によるリード化合物の合成展開を行ったが、もともとのスクリーニング候補の中でも、とても大きな化合物グループとして存在していたため、想定していたよりもSAR展開できる方向が限定的であった。そのため、さらなる新規化合物の開発は以降の研究では断念する。
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