研究課題/領域番号 |
21K08484
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
向井 知之 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00454421)
|
研究分担者 |
山崎 聡士 久留米大学, その他部局等, 准教授 (30367388)
守田 吉孝 川崎医科大学, 医学部, 教授 (50346441)
井田 弘明 久留米大学, 医学部, 教授 (60363496)
浅野 澄恵 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80816497)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | SH3BP2 / Cherubism / KIF7 / 自己炎症性疾患 / マクロファージ / TNF / TRAPS / 破骨細胞 / TNF受容体関連周期性症候群 / 自己炎症 / ケルビズム / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
SH3BP2変異マクロファージは炎症活性のみならず、それ自体が骨吸収活性を持つなど、その特異な細胞機能には未解明の問題が残されている。KIF7変異は、壊疽性膿皮症・重症ざ瘡・関節炎を呈する患者から同定され、新規の自己炎症関連遺伝子と考えられる。本研究では、Sh3bp2変異マウス・Kif7変異マウスおよび初代培養細胞を用いて、各遺伝子変異がどのように自己炎症病態を誘導するか、その機序を明らかとする。
|
研究実績の概要 |
自己炎症性疾患に着目し、SH3BP2変異によるCherubism、KIF7変異による炎症性疾患、TNFRSF1A変異によるTNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)の解析を行った。 Cherubismにおけるチロシンキナーゼ阻害薬Imatinibの有用性を検証するため、Cherubismモデルマウス(Sh3bp2 P416R変異マウス)を用いてImatinibの効果を評価した。Imatinibは骨髄由来マクロファージからの破骨細胞分化を濃度依存的に抑制した。しかしながら、Cherubismモデルマウスに対するImatinibの腹腔投与は炎症・骨量減少に対して共に限定的な効果のみであった。それらの研究成果は、Oral Biology 2021(DOI: 10.1111/odi.14073)として報告した。 自己炎症性疾患患者で同定したKIF7変異の炎症における役割を解析するため、KIF7変異マウスを作成し、その解析を行った。KIF7変異マウスは通常飼育下では炎症の表現型無く、正常に成長した。骨髄由来マクロファージを用いて、TLR ligandなどで刺激を行ったが、TNFやIL-1bの産生には野生型と比して顕著な差は認めなかった。マクロファージから抽出したRNAを用いてRNAseq解析を行ったところ、STAT3が活性化している可能性が示唆された。今後、KIF7がどのように炎症に関与するか解析を進めていく。 TRAPSの病態解析のため、Tnfrsf1a遺伝子にT79MまたG87Vの変異を有する2系統のTRAPS変異マウスを作成した。TRAPS変異によりTNFに対する反応性が低下することが分かった。これまでの研究成果をFrontiers in Immunology 2022(DOI:10.3389/fimmu.2022.926175)として報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cherubismモデルマウスの解析では、チロシンキナーゼ阻害薬Imatinibの効果を検証し、前述の如くの知見を得て、Oral Biology 2021(DOI: 10.1111/odi.14073)に報告した。現在、SH3BP2変異による炎症惹起機序、また他の治療候補薬剤の効果など検証中である。 KIF7変異と炎症に関する検討では、KIF7変異マウスを作成し、その解析を進めている。RNAseq解析で炎症病態の解明につながりうる知見が得られたので、解析を進めている。 TRAPS研究では、作成した変異マウスの解析を行い、TRAPS変異によりTNFに対する反応性が低下することが分かった。これまでの研究成果をFrontiers in Immunology 2022(DOI:10.3389/fimmu.2022.926175)として報告した。
|
今後の研究の推進方策 |
Cherubismモデルマウスの解析では、チロシンキナーゼ阻害薬Imatinibでは期待した炎症・破骨細胞分化抑制効果がin vivoでは見られなかった。現在、SH3BP2変異による他の炎症惹起機序に関して解析を進めており、その知見を元に他の治療候補薬剤の効果を更に検証していく。 KIF7変異と炎症に関する検討では、KIF7マウスを作成し、その解析を進めている。最初の解析では有意な炎症増幅作用は認めなかったが、骨髄由来マクロファージを用いた実験で、RNAseq解析によりSTAT3の活性化が示唆された。炎症病態におけるSTAT3の関与の有無について検討を進める。 TRAPS研究では、TRAPS変異によりTNFに対する反応性が低下することが分かったが、炎症惹起機構に関してはまだ未解決である。RNAseq解析等の網羅的解析を行い、詳細解析を進める。
|