研究課題/領域番号 |
21K08568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
高安 忍 弘前大学, 医学研究科, 講師 (80466507)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | プロオピオメラノコルチン / 転写調節 / グルココルチコイド / ACTH |
研究開始時の研究の概要 |
難病である副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生下垂体腫瘍(クッシング病)は、良性腫瘍にもかかわらず、慢性的なACTH産生分泌とそれに引き続いての副腎皮質ホルモンの過剰に伴い、感染症、糖尿病、高血圧、脳心血管疾患や骨粗鬆症等の合併症により、生命予後に重大な影響を及ぼす臨床的悪性疾患と言える。通常、副腎皮質ホルモンが過剰になりすぎないようにACTHの合成および分泌が制御されているが、クッシング病ではこの機構が十分に作用しない状態にある。明らかとなっていないACTH前駆体のプロオピオメラノコルチン遺伝子の抑制メカニズムを解明することによって、クッシング病の薬物治療につなげる。
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研究実績の概要 |
難病である副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生下垂体腫瘍(クッシング病)は、良性腫瘍にもかかわらず、慢性的なACTH産生分泌とそれに引き続いての副腎皮質ホルモンの過剰に伴い様々な合併症を引き起こして、生命予後に重大な影響を及ぼす臨床的悪性疾患である。通常、副腎皮質ホルモンが過剰になりすぎないようにACTHの合成および分泌が制御(ネガティブフィードバック)されているが、クッシング病ではこの機構が十分に作用しない状態にある。明らかとなっていないACTH前駆体のプロオピオメラノコルチン(POMC)遺伝子の抑制メカニズムを解明することによって、クッシング病の薬物治療につなげることを目的とした研究である。ネガティブフィードバックに関与する未知のPOMC遺伝子調節領域を推定するため、マウスACTH産生下垂体腫瘍細胞株AtT-20細胞において、既知のPOMC -7 kbエンハンサー領域とプロモーター領域をターゲットとした遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法(enChIP)の系を樹立し、引き続いて網羅的核酸シークエンス解析を行った。-7 kbエンハンサー領域とプロモーター領域に共通して近接している領域、また、それぞれに特異的に近接している領域を同定した。さらに、GCによって近接が強くなる領域、逆に離脱する領域の候補も同定した。Mediator complexのクロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-seq)のdataと比較した結果、共通する領域は非常に少なかった一方で、Cap analysis of gene expression (CAGE)で得られたエンハンサー候補(双方向性の転写物のある領域)の存在領域との関連についてはある傾向が見出された。これらを総合的に解釈した結果、-7 kbエンハンサー領域とプロモーター領域のGCによる調節機構が異なっている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年は、Mediator complexのChIP-seqとCAGEから得られた領域はオーバーラップすること、その共通部位が未知のエンハンサー領域として抽出されることを予想していた。しかしほとんど重複しておらず、さらにはCAGEの結果からはPOMC遺伝子付近には新たなエンハンサーは存在しない可能性が示唆された。そこで予定していたPOMC遺伝子付近のエンハンサー候補のknock out実験にかわり、GCに依存してPOMC遺伝子転写を制御する領域を絞り込む目的で、初年度からenChIPの樹立に進んだ。当該年度の予定では、既知のPOMC -7 kbエンハンサー領域をターゲットとしたenChIP網羅的核酸シークエンス(enChIP-seq)とその解析を見込んでいたが、さらにプロモーター領域においてもenChIP-seqを追加し解析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
CAGEとenChIP-seqから推定された、GCによって制御されるPOMC遺伝子転写調節領域候補数か所をCRISPR-Cas9でknockoutし、POMC mRNAあるいはACTH分泌の増減を評価することによって、GC依存性に制御される新たなPomc転写調節ゲノム領域を決定する。新たな課題としては、その領域がknockoutされた細胞を利用してenChIPを行い、ゲノム高次構造(DNAの近接)の変化を観察して、さらに重要な制御部位を同定する。
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