研究課題/領域番号 |
21K08638
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高田 護 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90800392)
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研究分担者 |
榊原 淳太 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20896427)
長嶋 健 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (60292710)
藤本 浩司 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60456027)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 微小管阻害剤 / 乳癌 / 抗がん剤 / 動物モデル / 細胞分裂 / 小分子 / 創薬 / 染色体不安定性 / 抗腫瘍効果 / 増殖抑制効果 / 有害事象 / 新規抗がん剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は染色体分離研究の中で発見した抗酸化物質CMPD1 の新たなメカニズムの探索と難治性乳癌に対する臨床応用を目的とした研究である。申請者は難治性乳癌疾患モデルにおいて、この新規薬剤候補物質が既知の微小管機能阻害剤であるTaxol よりも強い抗腫瘍効果を持つこと、そしてTaxol の1/100-1/1000 量で同様の効果を持つこと、その抗腫瘍効果には微小管機能阻害に加えて細胞増殖シグナル抑制および細胞ストレス反応阻害メカニズムの関与を見出した。CMPD1の抗腫瘍効果の機序を明らかにし、難治性乳癌の新規治療戦略を構築したい。
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研究実績の概要 |
難治固形癌に対する安全で高い奏功が期待できる殺細胞性抗がん剤としてのCMPD1のメカニズムを探索する研究である。CMPD1は正常細胞でも癌細胞でも細胞周期M期の有糸分裂時間の延長と分裂異常から染色体不安定性をもたらすことを同定した。また、CMPD1の投与によりM期の細胞運動が著しく増加する一方で間期の運動は著しく低下する現象が観察され、その結果がん細胞の遊走能が低下し、非足場依存性増殖能が阻害され、乳癌モデルマウスの腫瘍において脈管侵襲が低下していることがわかった。さらにCMPD1を投与した乳がん細胞はこれまで報告がない異常形態を示すことを見出した。最終年度においてこの形態異常のメカニズムとしてアクチンのリモデリングが抑制されることと、それがMK2阻害活性によるものであることが判明した。乳癌モデルマウスにおいてCMPD1はTaxolと比較して極めて微量で同程度の抗腫瘍効果を発揮することを見出した。この実験ではCMPD1投与群はTaxol群と比較して良好な健康状態が観察された。最終年度にそのメカニズムとしてCMPD1は正常細胞でのウォッシュアウト効果が強く、癌細胞では分裂異常を回避できない一方で正常細胞では正常分裂に回復しやすいことが明らかになった。最終年度に行った微小管重合アッセイとTURF実験において、CMPD1は微小管のマイナス鎖端は阻害しない一方、プラス鎖端の重合を特異的に阻害するという非常にユニークなメカニズムを同定した。現状の結果をまとめ、現在論文投稿中である。最終的には今後本薬剤を用いた研究を通して染色体分配機構の解明および新たな標的治療薬の開発が期待される。
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