研究課題/領域番号 |
21K08790
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 和宏 東北大学, 大学病院, 講師 (30569588)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 家族性大腸腺腫症 / 回腸嚢炎 / 抗菌ペプチド / 胆汁酸 / 腸内細菌 / 短鎖脂肪酸 / 大腸全摘 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、潰瘍性大腸炎および家族性大腸腺腫症の術後の腸内環境の変化を観察することで、腸管順応および回腸嚢炎の発症に至る過程を明らかにすることを目的とする。本研究は回腸嚢炎の発症以前(術前)から測定を始める研究手法をとることによって、腸内環境が炎症で大きく修飾される以前の微細な変化を捉えることが可能である。回腸嚢炎は、同じ術式であるにも関わらず潰瘍性大腸炎で高頻度に発症し、家族性大腸腺腫症での発症は稀であるため、回腸嚢炎の発症機序は潰瘍性大腸炎自体の発症機序と類似性があることが推察される、潰瘍性大腸炎の発症機序の解明にも繋がることが期待できる。
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研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(UC)または家族性大腸腺腫症(FAP)の大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術(IPAA)を施行した症例を対象とし、回腸嚢内視鏡、生検での粘膜サンプルの収集、糞便サンプルの収集を行った。サンプルの単回採取群・経時的な複数回採取群をあわせて、UC42例、FAP10例が登録された。回腸嚢内視鏡検査によるPDAI(Pouch activity index)をもとにした回腸嚢炎の新規発症の観察では、回腸嚢炎をUC16例(38%)、FAP1例(10%)に認めた。回腸嚢炎の発症時期については、人工肛門閉鎖後半年から2年以内の発症が10例、2年以上経過しての発症が6例であった。コントロールとして、抗菌剤やプロバイオティクスなどの薬物治療を行っていない健常成人20例を登録した。回腸嚢内における腸内細菌についての検討では、α多様性解析では、健常人は、UC回腸嚢症例、FAP回腸嚢症例に比べ有意に多様性に富んでいた。人工肛門閉鎖後の経過期間による有意差は認めなかった。腸内細菌の系統解析では、綱レベルでは、Negativicutesは健常人と比べて回腸嚢症例では多い傾向であった。人工肛門閉鎖後の経過期間で分類したところ、Bacteroidiaは増加傾向でNegativicutesは減少傾向であった。回腸嚢炎の有無で検討したところ、NegativicutesとBacroidiaが回腸嚢炎ではやや多く、ClostridiaとBacilliがやや少なかった。回腸嚢内の内因性抗菌ペプチドの発現の検討では、RELM-βとhBD1の発現量は術前から術後前期で上昇する傾向がみられ、その後、術後後期に有意に低下していた。HD5の発現量は、術後期間による有意な変化は認めなかったが、術前に比べて術後は有意に発現量が低下していた。
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