研究課題/領域番号 |
21K08813
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
于 在強 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40624268)
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研究分担者 |
瀬谷 和彦 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40281919)
大徳 和之 弘前大学, 医学研究科, 教授 (50374822)
今泉 忠淳 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90232602)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大動脈弁石灰化 / 大動脈弁狭窄症 / 薬物治療 / 動脈硬化 / 血管内皮増殖因子受容体2 / 異所性石灰化 |
研究開始時の研究の概要 |
・本研究は、弁異所性石灰化に対する内因性抑制系の存在を明らかにし、その病態生理学的役割を明らかにすることで、石灰化抑制に関わるタンパク質や活性物質を見出し、薬物治療に結びつけることを目的とする。 ・弁異所性石灰化の分子機構は非常に多様である。本研究は、異所性石灰化抑制の観点に立ち、逆転の発想からその機構を明らかにする。 ・内因性異所性石灰化抑制系を解明しつつ、大動脈弁狭窄症の病態基盤を新たに構築する。石灰化シグナリング機構を抑制する活性物質に基づいた新規薬物治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
大動脈弁狭窄症患者の石灰化した大動脈弁より大動脈弁間質細胞を単離した。これらの細胞の性質を解析したところ、ほぼ全て血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR2)陽性を示し、かつ石灰化しやすい性質を認めた。さらに、VEGFR2陽性の大動脈弁間質細胞は腫瘍壊死因子TNFーαに対して感受性が高いことを証明した。これを石灰化モデルとし、弁石灰化を抑制する薬物の開発を進めた。 VEGFR2陽性の間質細胞をTNFーαで刺激して石灰化が亢進するが、黄蓮解毒湯(10-30 μg/mL )との共存培養すると、TNFーαによる石灰化が有意に抑制された。さらに、TNFーαによるALP活性の上昇も有意に抑制した。また、黄蓮解毒湯は黄蓮と黄檗等の4種類の生薬を有するため、それぞれの弁石灰化に対する作用を調べた。その結果、黄蓮と黄檗は黄蓮解毒湯と同様にTNFーα誘発性石灰化とALP活性の上昇を有意に抑制した。 黄蓮解毒湯の生薬:黄蓮と黄檗はメインにベルベリンを有することが報告されていた。このベルベリンは抗炎症作用があるため、TNFーα誘発性石灰化に対する影響を調べた結果、ベルベリンは有意にTNFーα誘発性石灰化の亢進を抑制し、さらにALP活性の上昇及び骨形成因子BMP2の発現亢進を有意に抑制した 高血圧SHRラットを飼育し、27週齢より黄蓮解毒湯(1mg /mL)を給水で投与開始した。大動脈弁石灰化の有無を小動物用超音波装置で観察した。黄蓮解毒湯投与7週間後に実験動物を犠牲にして心臓及び大血管を摘出し、Von Kossa染色法で弁石灰化を評価した。その結果、黄蓮解毒湯非投与群(n=4)のSHRラットの大動脈弁に多くのVon Kossa染色陽性の領域を認めたが、黄蓮解毒湯投与群(n=4)のSHRラットの大動脈弁にはVon Kossa染色陽性の領域が黄蓮解毒湯非投与群に比較して有意に減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大動脈弁間質細胞の単離と培養は順調に行われ、実験動物もうまく飼育されており、いずれも予測通りの結果が得られていた。実験用試薬の調達も順調でした。
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今後の研究の推進方策 |
SHRラットに黄蓮解毒湯を半年以上に長期投与し、大動脈弁及び血管の石灰化、肝腎機能及び腸管に対する影響の有無について詳しく調べる。大動脈弁石灰化を定期的に小動物用超音波装置で観察する。さらに、定期的に採血を行い、肝腎機能及び血中Piの変化を観測する。
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