研究課題/領域番号 |
21K08957
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
金 徹 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80318493)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 手術スケジュール / 効率的運営 / 自動生成プログラム / 医療資源 / 自動生成 / コンピュータ |
研究開始時の研究の概要 |
限られた医療資源の中で、周術期、特に手術室の運用を効率的に行うために、従来は業務・機器の運用状況などに精通した医師、看護師が手術室の運用管理を行ってきた。 複数の因子からなる医療資源の配分・運用をコンピュータを用いて分析・解析することにより、最適な医療資源配分を算出し、その結果を応用して、効率的な周術期、手術室の運用管理ができるコンピュータプログラムの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、手術スケジュールをコンピュータにより自動生成し、手術室の効率的な運営の実現を図ることにある。具体的な数値目標として、手術室稼働率の改善、残業時間の短縮などが上げられる。本年度は今までのデータと解析結果の見直しを行った。対象データは2013年4月1日から2014年3月31日までのものを用い、使用したデータカテゴリは、1)患者データ(性別、年齢、身長、体重、BMI)、2)手術関連データ(手術日、診療科名、術式コード、診断名、手術室滞在時間、麻酔方法、手術室番号)、3)手術スタッフ関連データ(主治医(IDで匿名化。以下同様)、執刀医(ID)、助手(ID)、器械出し看護師(ID)、外回り看護師(ID))である。業務時間を8:30から17:00と定義し、この前後の業務は時間外業務として扱った。対象手術件数は3236件であり、これには緊急症例も含めてあるが、緊急手術は実際の時刻に固定して検討した。対象となったスタッフ数は234名であった。 上記のデータを元に、新たに手術スケジュールを組み直し、実際の稼働状況と比較したところ、稼働率は61.6%から68.9%に上昇し、残業時間は平均で80%削減できることがわかった。本研究の意義と重要性はここにあり、一言で言えば、医療資源の効率的な利用である。 しかしながら、現時点では、「執刀医の予定」や「手術に必要な機器、機材の稼働可能時間」、「手術と手術の間に必要なインターバルを規定する因子(例えば、患者の移動、器材の片づけと準備、清掃など)」が加味されておらず、これらの因子を解析データに含んだ場合の検討が必要である。また、手術申し込みに際する手術予定時間と実際の手術時間との乖離などもアルゴリズムに影響するため、関連因子を更に加えて検討する必要性もある。 以上、より効率的な手術室運営を実現するプログラムを提供できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現時点では、得られたデータかた手術スケジュールをコンピュータにより自動生成することはできており、稼働率の上昇や残業時間の削減など期待する結果を得ることもできている。 一方、「執刀医の予定」や「手術に必要な機器、機材の稼働可能時間」、「手術と手術の間に必要なインターバルを規定する因子(例えば、患者の移動、器材の片づけと準備、清掃など)」、「手術申し込みに際する手術予定時間と実際の手術時間との乖離」などもアルゴリズムに影響するため、これらの関連因子を更に加えて検討する必要性があるが、この点に関して予想通りには進んでいない。これらの因子を定量化あるいは定式化する要素が想定外に多く、複雑なためである。
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今後の研究の推進方策 |
研究の過程において、小中規模の病院においても手術室スケジュールを自動生成するプログラムの需要があることが判明した。現在開発中のプログラムはいわゆるパソコンでも稼働可能であるが、ユーザーが容易にカスタマイズできるものではない。可能であれば「汎用性のあるソフトで稼働し、かつ、ユーザーが容易にカスタマイズできるもの」が望まれている。 必要最低限の入力情報で、出力結果をカスタマイズすることができ、システムエンジニアの介入がなくても運用できるものの必要性を本研究者は知ったので、本研究のような独自のプログラムと同時に「汎用性のあるソフトで稼働し、かつ、ユーザーが容易にカスタマイズできるもの」の開発も合わせて行う予定でいる。この開発自体は、本研究のプログラム開発の妨げになるものではなく、むしろ開発における新しい見方、アイデアを得るヒントになるはずなので、本研究の推進に寄与するものと考えている。
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