研究課題/領域番号 |
21K08965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
松川 隆 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80209519)
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研究分担者 |
中楯 陽介 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50597002)
小口 健史 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60201399)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 心筋虚血再灌流障害 / ラクトフェリン / 心臓手術 / 人工心肺 / 心収縮力 / プレコンディショニング / 気絶心筋 |
研究開始時の研究の概要 |
人工心肺を用いる心臓手術における虚血-再灌流障害にはPI3k/Akt経路が関与している。 近年周術期栄養療法が提唱され、ラクトフェリンは、母乳に多く含まれてPI3K/Akt経路を介して免疫調整作用、抗炎症作用を持つが、心筋虚血再障害に対する効果は不明である。 ラット摘出心臓(Langendorff 灌流心)の心筋虚血再灌流モデルを用いて、ラクトフェリンの心筋保護・心機能改善効果と機序を明らかにすることを目的とした。自然に存在して腸管から吸収されるラクトフェリンの効果が解明されれば、心臓手術の予後向上を目指したラクトフェリンの術前投与の臨床応用が期待される。
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研究実績の概要 |
心筋虚血再灌流障害にはPI3k/Akt経路が関与している。ラクトフェリンはPI3K/Akt経路を活性化するとされ、心筋虚血再灌流障害に対する保護効果が期待される。本研究の目的はラクトフェリンの心筋虚血再灌流障害に及ぼす効果と機序を解明することである。 摘出孤立心臓を、Langendorff 法を用いて左室圧、冠灌流量、心筋酸素消費量などを測定することで心機能を評価することとした。 虚血前灌流、無灌流虚血、再灌流による虚血再灌流障害もモデルをを用いて、ラクトフェリンの投与経路、投与量、投与タイミングについて対照群との心機能回復を比較することで、再灌流時に心機能をより改善するか検討することとした。 ラクトフェリンを経腸的に投与した場合と灌流液に直接混合して投与した場合で、ラクトフェリンの心筋虚血再灌流障害への効果の評価を行った。灌流液にラクトフェリンを直接混合投与した場合には心筋保護効果が認められなかったが、経腸管的に投与した群において虚血再灌流後の心機能の回復が促進が確認できた。現在、経腸的ラクトフェリンの保護効果に関して、シグナル経路の解析をウエスタンブロット法を用いて行っている段階で、PI3K/Akt経路を中心にその他の心筋保護経路についても検討を行っている。 腸管から吸収されるラクトフェリンの心筋虚血に対する保護作用の機序が解明されれば、心臓外科手術の術前に使用する根拠が得られ、新たな心筋保護戦略になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は以前より所有していたランゲンドルフ装置の老朽化のため、安定した結果が得られず、実験の進行に支障を来し、新規ランゲンドルフ装置の購入を行い研究再開をしたため、後れを生じた。2022年度は順調にデータ収集を進めることができ、生理学的データが収集は終了し、機序の検討を開始している。後れを取り戻している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
シグナル経路の測定を継続し虚血再灌流障害に対するラクトフェリンの作用機序の検討を行う予定である。シグナル経路の同定に時間を要す場合にはRNA解析も検討する。
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