研究課題/領域番号 |
21K08997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
若松 弘也 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (80379966)
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研究分担者 |
高瀬 泉 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30351406)
松本 美志也 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60243664)
陳 献 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70313012)
大木 順司 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (80223965)
西田 周泰 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90535262)
亀谷 悠介 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90829516)
森岡 智之 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00893869)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | バーチャルヒューマンモデル / 一次救命処置 / 胸骨圧迫 / 背板 / 自動胸骨圧迫装置 / トーションバー / 心肺蘇生 / 一次救命処置(BLS) / 有限要素法 |
研究開始時の研究の概要 |
心肺蘇生手技は観察研究を根拠としており、現行法が最も安全で効果的な方法であるか否か客観的な評価は行われていない。そこで本研究では、シミュレーション技術を駆使して安全で有効な心肺蘇生手技の開発をめざす。そのため以下の検討を行う。①必要なデータの採取:バーチャルヒューマンモデル(VHM)の改良・開発に必要なデータを剖検症例から採取する。②VHMの改良・開発:①のデータを利用しながら既存モデルを発展させる。③効果的で合併症の少ない心肺蘇生手技を探る:VHMでシミュレーションを行う。④機械的心肺蘇生法の改善や新たな開発を行う:シミュレーションで既存の自動胸骨圧迫装置の改良や、新たな機器の開発をめざす。
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研究実績の概要 |
令和4年度に、トーションバーの原理を用いて再現性の高い胸部バーチャルヒューマンモデルを完成させることができたので、心肺蘇生時にベットのマットレスと傷病者の間に置く背板の効果について、この胸部バーチャルヒューマンモデルを用いて検討した。背部には皮膚およびマットを想定した直方体モデルを配置し、また背板モデルも作成した。病院で使用されているマットにはいろいろな硬さがあるため、各種マットのヤング率を実際に測定し、そのデータをもとに解析モデルを作成した。解析の結果、背板を使用することにより、押込み量(救助者が傷病者の胸郭を5cm圧迫するために、救助者の手が移動する距離)を大きく減らすことができ、マットが柔らかいほどその効果は大きいことがわかった。一方で背板の大きさは大きいほど押込み量は小さくなるが、その差は小さく、実臨床では問題にならないと思われた。 本研究では、効果的で合併症の少ない用手的心肺蘇生手技を探るとともに、機械的心肺蘇生法の改善や新たな開発を行うことを目標としている。そのため、まずは現時点で使用されている自動胸骨圧迫装置の挙動を解析し、その動きをコンピューター上で胸部バーチャルヒューマンモデルに適応させることを目標とした。そこで、国内で入手可能な3機種の自動胸骨圧迫装置を販売している業者と交渉し、了承が得られた2機種を借用して、圧迫と除圧の方法やそのタイミングなどを工学的に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機械的心肺蘇生法の改善や新たな開発を行うためには、現在用いられている自動胸骨圧迫装置の問題点を明らかにする必要がある。そのためには、現時点で臨床で使われている3機種すべての自動胸骨圧迫装置の解析を行いたいが、2機種しか解析できていない。業者の協力が必要で、粘り強く交渉をして残る1機種の解析を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
業者との交渉を実現させ、現時点で臨床使用されているすべての自動胸骨圧迫装置の圧迫と除圧の方法やそのタイミングなどを工学的に解析し、胸部バーチャルヒューマンモデルに適応させる。そして、その問題点、改善点を明らかにする。 これまでの自動胸骨圧迫装置は、用手的胸骨圧迫を機械で代用するように開発されており、用手的胸骨圧迫との比較で非劣勢が示されている。今後の研究では、胸部バーチャルヒューマンモデルを用いて、自動胸骨圧迫装置によるこれまでにない新たな圧迫方法を設計し、その方法が用手的胸骨圧迫を超える有用性と安全性を担保できるか検討していく。例えば、1)肋骨骨折などを防ぐために特殊なプロテクターを装置に加える、2)現在は胸骨を背側に向かって圧迫しているが胸部を左右から正中に向かって圧迫する、3)現在は間欠的に圧迫を行っているが、圧迫した状態をベースラインとし、間欠的に圧迫を解除する、などの効果を検討する。
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