研究課題/領域番号 |
21K09009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
岡田 基 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80431427)
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研究分担者 |
藤田 智 旭川医科大学, 医学部, 名誉教授 (10173428)
黒嶋 健起 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (30898408)
川口 哲 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60814217)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 敗血症 / β3受容体 / CLP / S1P / Fingolimod / スフィンゴシン1リン酸 / 心筋代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
1)β3受容体制御におけるスフィンゴシン1リン酸(S1P)の役割を検討する、2)敗血症モデルでのS1Pサブタイプとβ受容体の関連を検討する、3)S1Pアナログを用いて、敗血症治療に応用できるか有用性を検討する。 1)CLPモデルを作成し、エコーで心機能を評価し、心筋組織での遺伝子発現を検討する 2)β3ノックアウトマウスを用いて、5つのS1Pサブ対応の発現を検討する 3)FTY720などのS1P作動薬を用いて、治療効果を検討する
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研究実績の概要 |
敗血症など大きな生体侵襲が加わると、systemic inflammatory response syndrome (SIRS)と呼ばれる炎症性メディエーターが産生される病態になると同時に、抗炎症性サイトカインなどが産生され、細胞機能が低下し宿主の全身状態により多臓器不全に陥る。この際、心臓のエネルギー代謝機構が脂肪酸代謝から変化する、いわゆる、メタボリックスイッチをきたすと考えられている。 β3アドレナリン受容体(B3AR)は脂肪酸代謝に関連し、心不全で発現が増加するが、敗血症モデルにおいてB3AR遮断により、心機能と生命予後を改善させることを報告した。一方、脂質メディエーターであるスフィンゴシン1リン酸(S1P)は敗血症や心不全で血中濃度が低下することが報告されている。一方、FingolimodはFDAが承認したS1PR標的薬でリンパ球上のS1PR1の機能的アンタゴニストとして作用し、敗血症でのサイトカインの産生を抑制する可能性が期待できる。 我々の作成した盲腸結紮穿孔(CLP)マウスは24時間で50%以上が死亡することを確認しているが、Fingolimod投与群の24時間生存率は優位に高かった。また、心エコーによる心機能評価では, CLPによる左室内腔の拡大と左室駆出率の低下の改善を認めた。心筋組織におけるPCRにおいてIL-6, TNF-aなどのサイトカインの発現の低下、及び、S1P及びスフィンゴシンキナーゼSPHK1の発現低下の抑制を認めた。S1Pの刺激によるGiの活性化は、B3AR刺激と同様にPI3Kを介して、Akt, Rac, Ras-ERK, そしてPLCを活性化することが明らかになった。 多発性硬化症の治療薬として認可されているFingolimodの敗血症への有効性が示唆され、臨床応用が期待できると考えられた。当初の予定ではB3ARノックアウトマウスによる実験を予定していたが、購入できずFingolimodでの実験を優先した。最終年度は計画通り遂行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19感染症での動物実験の制限。特に、B3ARノックアウトマウスの購入ができなかったことが大きい。また、臨床業務の増加による研究へのエフォート率の相対的低下も影響した。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者の寄与率の増加が期待できること、B3ARノックアウトマウスの購入を予定していることなどより、計画の進捗の回復が期待できる。
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