研究課題/領域番号 |
21K09022
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
朱 鵬翔 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (40380216)
|
研究分担者 |
阪中 雅広 愛媛大学, 医学部, 研究員 (60170601)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 反復性軽度外傷性脳損傷(rmTBI) / インフラマソーム / astrocytes / オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC) / 慢性外傷性脳症(CTE) / 白質損傷 / 軽度外傷性脳損傷(MTBI) / 高次脳機能障害 / アストロサイト / inflammasomes |
研究開始時の研究の概要 |
繰り返し受ける軽度外傷性脳損傷(rmTBI)では損傷部位を特定できない場合が多くで早期診断は難しいが、時間経過とともに高次脳機能障害が出現する。脳損傷の数年から数十年後に、慢性外傷性脳症(CTE)に発展する例が多く報告されている。rmTBI初期では、白質の損傷とグリア細胞の活性化が見られるが、時間と共に脱髄とTauパチーが進行し、記憶障害、認知障害などの症状が見られる。本研究ではrmTBIにおいてOligodendrocytesの損傷と再生とそれに関与するGliaを詳細に検討する。この研究によって、rmTBIによる高次脳機能障害と続発するCTEへの治療法開発の糸口が見出されるものと期待される。
|
研究実績の概要 |
令和三年度では反復性軽度外傷性脳損傷(rmTBI)モデルマウスを用いて、損傷後脳内の組織変化と高次脳機能障害の関連性を確かめた結果、rmTBIによる高次脳機能障害が、インフラマソームを介する自然炎症を抑制することによって改善された。一昨年度(令和4年度)では初代培養細胞を用いて、グリア細胞特にアストロサイトの活性化がオリゴデンドロサイトの変性と再生への影響を調べた結果、Nigericinによりインフラマソーム活性化されたWtアストロサイトのconditioned mediumがオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の増殖と分化を抑制することが確認できた。ASCノックアウト(KO)アストロサイトにNigericinを投与して、インフラマソーム活性化されでないKO conditioned mediumをOPCの共培養に用いた結果、正常mediumと比べて、KO conditioned medium用いたOPCの増殖と分化では有意差がなかった。昨年度(令和5年)ではrmTBIモデルマウスの長期飼育実験かを行った。一日一回、合計5回mTBIを受けたWtマウスとASC KOマウスが6か月間飼育された後、行動実験と脳組織のウエスタンブロッティングを行った。rmTBIを受けた6か月後、WtマウスよりASC KOマウスの生存率が高い。行動実験の結果から、ASC KOマウスに比べて、Wtマウスの認知機能と運動機能は明らかに悪化している。更に、認知機能障害、運動障害と脳内p-Tauの発現上昇を同時確認できたマウスが慢性外傷性脳症(CTE)発症と考えられる。Wtマウスより、ASC KOマウスのCTE発症率が有意に減少した。以上の結果から、インフラマソームを介する自然炎症に活性化されたグリア細胞が損傷した白質の回復を抑制し、神経機能の悪化に繋がり、最終的にCTE発症を引き起こすと考えられる
|