研究課題/領域番号 |
21K09309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
依田 昌樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (30464994)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 筋再生 / 筋線維化 / FAPs / 加齢 / 筋損傷 / 筋萎縮 / 筋拘縮 / 筋衛星細胞 / 間葉系前駆細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、FAPs(fibro/adipogenic progenitors)が筋線維芽細胞へと分化する因子の同定、およびMuSCs(筋衛星細胞)とFAPsの相互作用による筋線維化の分子機構を明らかにすることを目的としている。さらに、関与するシグナル伝達の阻害による筋線維化の抑制を目指している。筋損傷後の線維化の評価はこれまでも行われてきたが、加齢に伴う筋組織の線維化に関する分子機構に関しては報告がないのが現状である。また、申請者は筋組織の恒常性がMuSCsとFAPsの相互作用によって維持されていると考えており、加齢や病的環境下により、そのバランスが崩れて線維化などの変性が生じると考えている。
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研究実績の概要 |
2022度は損傷後の再生筋組織中の遺伝子発現解析を経時的に行った。しかし、その結果が損傷後のFAPsにおける遺伝子発現と相関関係を示しているかは不明であった。そこで2023度は筋組織中に存在する間葉系前駆細胞(FAPs; Fibro-Adipogenic Progenitors)を対象に損傷3日後および7日後の再生筋組織中に存在しているFAPsを単離し、変動している遺伝子をRNA-seq解析により評価することを目的に研究をすすめた。同時に拘縮筋萎縮モデルマウスを使用し、拘縮後の筋萎縮抑制に関連する遺伝子群を調べた。筋損傷後セルソーターにてFAPsを単離しRNA精製後RNA-seq解析を受託依頼にて行った。得られたデータから筋損傷群で上昇する遺伝子を選定し評価した。また、筋損傷だけではなく筋拘縮モデルマウスにおいても同様に拘縮時にFAPs中で変動する遺伝子のRNA-seq解析を行い評価した。 筋損傷モデルにおいては再生初期である損傷3日後にPen3、Col1a1、Lox、Vasnなど他臓器の線維化に関連して発現増加が認められている遺伝子群が、筋損傷群で上昇していることが確認できた。これらから、損傷後速やかに筋再生が起こらないと、間質組織中の線維化要素が蓄積し線維化につながる可能性が考えられた。また、筋拘縮モデルでは拘縮後FAPsにおいてIl1rl1(別名;ST2)の発現が若齢、老齢ともに上昇することが分かった。またST2のリガンドであるIl33も若齢マウスでのみ上昇することが確認された。また若齢マウスの拘縮時に、IL-33および可溶型ST2(IL-33の阻害剤)を投与した結果、可溶型ST2投与群では筋萎縮が悪化した。このことよりIL-33は拘縮性筋萎縮の治療薬となりうる可能性が示された。
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