研究課題
基盤研究(C)
超高齢社会の日本において要支援・要介護の原因の第1位は運動器障害である。これまでの調査で、成長期に発症した脊柱変形の患者は、成人期において椎間板変性や椎体終板の変性であるModic変性を発症する可能性が高いことを明らかにしており、脊柱変形が老後の健康寿命に与える影響は大きいと予測している。早期に脊柱変形を治療することが重要となるが、脊柱変形から椎間板変性やModic変性が発症する機序は明らかではなく、現時点で有効な予防法はない。脊柱変形において椎間板変性・Modic変性が起こるメカニズムを解明することを目的に研究をおこなう。
術後長期経過した脊柱変形患者において、椎間板変性の有病率は76.9%、Modic変性の有病率は66.7%であった。中高年期の7年間において、椎間板変性は進行し、矢状面アライメントは悪化していた。可動椎間板を3 椎間以上残さないことは椎間板変性を悪化させる要因であった。脊柱変形女性患者の中年期のおける骨密度とT-scoreは、過去7年間において有意に低下しており、主胸椎カーブや腰椎カーブの側弯が大きいと年間Z-score変化量が低下していた。変形脊椎の有限要素法による構造解析では、従来の軌道より、スクリュースレッドが外側皮質骨を捉える軌道において、引き抜き強度が14%増加した。
脊柱変形の脊椎固定術において可動椎間板を3椎間以上残しながら良好な矢状面アライメントとすれば、長期的な椎間板変性を予防することができる。脊柱変形手術のより大きな側弯変形を残さないことで、中年期以降の骨粗鬆症の予防につながる。変形脊椎において通常軌道にこだわらず、より皮質骨を捉える軌道でスクリュー刺入ができれば引き抜き強度を上げることが可能となる。これらは新たな脊柱変形矯正手技を開発できる可能性があることを示唆している。椎間板変性・Modic変性、骨強度と脊椎配列異常の関連性を解明したことで、脊柱変形患者の健康を長期的に維持する新たな矯正手術の開発へと繋げることができる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件)
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