研究課題/領域番号 |
21K09435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
藤ノ木 政勝 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (30316583)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 精子 / 超活性化運動 / 受精能獲得 / セロトニン / トリプトファン |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類精子は受精能獲得という質の変化を経て超活性化運動を示す様になり、卵と受精する。超活性化運動をする能力が高い精子での体外受精は成績が良いとされる。近年、超活性化運動がセロトニンにより良く起こる様になり、セロトニン存在下で体外受精をすると成績が良くなると報告された。加えて、精子でセロトニンを産生している可能性が示された。そこで本研究では、精子がトリプトファンからセロトニンを合成し、自身で産生したセロトニンにより超活性化運動を起こす可能性について、さらにその結果として体外受精の成績を良くする可能性について検討を行う。
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研究実績の概要 |
マウス(系統ICR)、ラット(系統Wistar-Imamichi)、シリアンハムスターの各げっ歯類動物精子においてトリプトファンからセロトニンを産生・分泌しているかを検討するために、セロトニン産生に関与する酵素の阻害剤を用いて実験を行った。トリプトファンはトリプトファンヒドロキシラーゼにより5-ヒドロキシトリプトファンに変換し、さらに5-ヒドロキシトリプトファンはL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼによってセロトニンに変換される。そこでまずトリプトファンヒドロキシラーゼの阻害剤の影響を調べた。各々の動物の精子にトリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤を作用させた所、トリプトファンによる超活性化運動の促進作用は認められなかった。一般にセロトニン合成の律速段階はトリプトファンヒドロキシラーゼによって規定されるとされるので、得られた結果から少なくともマウス、ラット、ハムスターの精子においてトリプトファンからセロトニンを産生・分泌することによって超活性化運動の促進が起こっていると考えられる。 次にICRマウスを用いてトリプトファンおよび5-ヒドロキシトリプトファン存在下で体外受精を行った。セロトニン存在下でICRマウスの体外受精の成績が向上する事は既に論文として発表しているが、トリプトファン存在下での体外受精でもその成績は向上した。しかし、5-ヒドロキシトリプトファン存在下では体外受精の成績の向上は認められず、むしろ成績を悪くする結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はマウス、ラット、ハムスター精子においてトリプトファンからセロトニンを産生・分泌し超活性化運動の促進が起こるのかを明らかにする事とトリプトファンの体外受精への影響を調べる事を計画していた。トリプトファンヒドロキシラーゼを阻害することにより超活性化運動の促進が抑制されたことから、精子におけるセロトニン産生を確認することができた。現在、L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼの阻害の効果を確認しており、超活性化運動の促進が抑制されることを示す結果が得られつつあり、トリプトファンからセロトニンを合成する経路の全般に渡る阻害実験の結果が揃いつつある。また、マウスを用いた体外受精の実験においてトリプトファンがその成績を向上させることが分かった。したがって概ね計画の通りに研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
マウス、ラット、ハムスター精子においてトリプトファンからセロトニンを産生・分泌していると考えられる結果が得られつつある事から、実際に産生・分泌されたセロトニンの検出を行うことを計画している。検出はELISA法で行う予定である。
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