研究課題/領域番号 |
21K09486
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島田 宗昭 東北大学, 未来型医療創成センター, 教授 (40362892)
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研究分担者 |
徳永 英樹 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30595559)
重田 昌吾 東北大学, 大学病院, 講師 (90842633)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 卵巣粘液性癌 / 難治性がん / オミックス解析 / メタボローム解析 / プロテオーム解析 / 難治性癌 / 卵巣癌 / 粘液性癌 / 化学療法抵抗性 / 難治性 / 鑑別診断 |
研究開始時の研究の概要 |
進行・再発卵巣粘液性癌は化学療法抵抗性を示し、難治性癌である。病理組織診断の精度が低く、稀少性もありゲノム解析に基づく十分な抗腫瘍効果を示す治療法は確立していない。 本研究では、粘液性癌、発生母地である境界悪性腫瘍や嚢胞性腺腫、鑑別診断で重要となる転移性粘液性癌、他臓器粘液性癌(胃癌、小腸癌、結腸癌、膵癌、子宮頸癌)の検体を用いたオミックス解析を行い、①原発性粘液性癌の病理診断精度向上に寄与するオミックス解析結果を検討し、②RNA解析による1細胞発現解析により難治性卵巣粘液性癌の治療抵抗性に関連する免疫微小環境における分子機構を解明し、難治性卵巣粘液性癌に対する新たな治療戦略を開発する。
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研究実績の概要 |
細胞代謝の変化はがんの特徴であり、メタボローム解析は個人の現在の表現型を反映し、血漿メタボローム解析は、バイオマーカー同定に有用である。本研究では、進行卵巣がん患者80名の血漿中の尿毒症毒素(UTx)を含む624種類の代謝物を超高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析計(UHPLC-MS/MS)を用いて解析した。東北メディカル・メガバンクに保管されている健常人を比較対照として突合解析を行うと、進行卵巣癌患者では77種類の代謝物が有意に増加し、114種類の代謝物が有意に減少していた。特に、リゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの濃度低下とトリグリセリドの濃度上昇が観察され、進行卵巣癌患者に特徴的な代謝プロファイルが示された。各代謝指標のパラメータを算出した結果、トリプトファンに対するキヌレニンの比率が高いほど、進行卵巣癌患者の予後不良であり、UTxの一つであるキヌレニンは、EOCの予後予測と関連する可能性がある。今回の結果から、血漿メタボローム解析は、進行卵巣癌の診断のみならず、UTxの変動による予後予測や化学療法への反応性の評価にも有用であることが示された。 現在、卵巣癌症例250例の血漿メタボローム解析を完了しており、前述の研究成果を検証しつつ、予後不良な組織亜型である粘液性癌や明細胞癌に着眼した統合解析を進めている。さらに、血漿プロテオーム解析、組織メタボローム解析も開始し、多層的オミックス解析を拡充している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多層的オミックス解析との統合解析が可能となる基盤整備が概ね完了し、卵巣粘液性癌を含む、婦人科悪性腫瘍症例の血液検体、組織検体の集積も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究対象である卵巣粘液性癌をはじめとする婦人科がんの診療情報基盤の拡充に努めており、多層的オミックス解析との統合解析が可能となる基盤整備が概ね完了した。卵巣粘液性癌をはじめ、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がんなど婦人科悪性腫瘍症例の血液検体、組織検体の集積も順調に進み、今年度中に1000例に到達する。血漿メタボローム解析に関しては、Biocrates MxP(R) Quant 500 kit (Biocrates Life Science AG, Innsbruck, Austria)を用いて628代謝物の質量分析を行っており、東北メディカル・メガバンクに保管されている健常人データとの突合解析を進める体制が整った。現在、健常人を比較対照とし、子宮内膜癌142例、子宮頸がん49例との統合解析を進め、診断、治療効果予測、予後予測などの因子を探索している。加えて、血漿プロテオーム解析のシステム構築も進めており、多層的オミックス解析を促進する体制が整いつつある。
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