研究課題/領域番号 |
21K09516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
折出 亜希 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (00423278)
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研究分担者 |
金崎 春彦 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (10325053)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | キスペプチン / ゴナドトロピン / 視床下部 / 生殖機能 |
研究開始時の研究の概要 |
生殖機能は視床下部-下垂体-性腺軸(HPG axis)により制御される。視床下部で産生された性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)は下垂体門脈に放出され、下垂体にあるゴナドトロピン産生細胞に作用しゴナドトロピンが分泌される。GnRHがHPG axisの最上位に位置すると考えられてきたが、 近年視床下部キスペプチンがGnRHニューロンの働きを支配していることが明らかになってきた。キスペプチン及びその受容体は末梢組織にも発現している。本研究では視床下部キスペプチンニューロン及び下垂体、卵巣にも存在するキスペプチンの発現調節機構及びその生理的役割について解析する。
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研究実績の概要 |
卵巣摘出(OVX)では、循環エストラジオール(E2)が低値となり、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)放出、さらにはゴナドトロピン分泌を制御している視床下部キスペプチン(Kiss1)ニューロンに影響を与える。また胞液中から同定されたアクチビン、インヒビン、フォリスタチンは卵巣で卵胞発育に関与しているが、下垂体前葉にも存在しゴナドトロピン産生細胞からのFSH分泌に重要な役割を担っていると考えられている。本研究ではOVXが雌ラットの下垂体前葉にもたらす変化について検討した。OVX により、下垂体内のゴナドトロピンα、黄体形成ホルモン(LH)β、卵胞刺激ホルモン(FSH)β サブユニットの mRNA 発現が対照(偽手術)ラットと比較して有意に増加したが、これは E2 補充によって完全に抑制された。また、男性ホルモンであるジヒドロテストステロンを高用量で投与すると、OVXラットではα、LHβ、FSHβの3つのゴナドトロピンサブユニット発現の増加が抑制された。下垂体内のGnRH受容体の発現はOVXラットで有意に増加し、この増加はE2補充により完全に抑制された。キスペプチン受容体の発現はOVXによって変化しなかった。下垂体内のインヒビンα、βA、βBサブユニットのmRNAレベルはOVXにより変化しなかったが、下垂体内のフォリスタチン遺伝子発現はOVXにより増加し、この増加はOVX後のE2補充により完全に抑制された。下垂体ゴナドトロピン産生モデル細胞(LβT2細胞)を用いた実験では、フォリスタチン自体はLHβおよびFSHβサブユニットのmRNA発現を調節せず、GnRHによるこれらの遺伝子の発現上昇はフォリスタチン存在下でわずかに阻害された。今回の観察から、卵巣摘出はラットの下垂体においていくつかの特徴的な変化を引き起こすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、雌ラットの卵巣摘出後の下垂体前葉の局所的な変化について検討した。これらの下垂体局所での遺伝子発現の変化は、卵巣摘出によってGnRHパルスが高頻度に分泌された結果であることが示唆される。E2によるネガティブフィードバックが作用してる状況下での下垂体の変化を観察することは、一連の研究の目的である視床下部ー下垂体ー性腺(HPG)軸における視床下部キスペプチンニューロンの制御機構と下垂体及び卵巣に存在するキスペプチンの制御及びその生理作用の解明につながるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
視床下部ー下垂体ー性腺(HPG)軸である卵巣について、顆粒膜細胞におけるキスペプチン発現と血中E2濃度及び、E2の代謝産物との相関を検討する予定である。
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