研究課題
基盤研究(C)
卵巣癌は腹腔内播種を伴う進行した状態で見つかることが多く、手術のみで完治することは難しいため薬物療法の役割は重要である。卵巣癌で最も頻度の高い漿液性癌は比較的薬物療法感受性が高いが、明細胞癌はキードラッグとなる白金製剤に対して抵抗性を示す。本邦では上皮性卵巣癌の約1/4を明細胞癌が占め、腫瘍の特性に応じた治療開発が必要である。我々の先行研究で、明細胞癌の進行度と転写因子であるZFHX4の体細胞ゲノム変異との間に相関が認められた。転写因子ZFHX4は、クロマチンリモデリングに関わるCHD4の発現を調節し、さらにCHD4と直接タンパク間結合し転写を共調節する可能性が示されている。
化学療法抵抗性の難治卵巣がんである明細胞癌において2次元培養細胞株を用いた実験結果より、クロマチンリモデリング因子であるCHD4が白金製剤感受性を制御することを見出した。また明細胞癌における発癌機構に深く関与するARID1Aの変異の有無によってスフィンゴ脂質の代謝に変動があることをバイオバンクデータおよびヒト臨床検体、培養細胞下部の基礎実験データから明らかとした。
卵巣癌細胞株を用いてZFHX4とCHD4のノックダウン実験によってシスプラチン感受性が亢進する現象を認めた。現時点でクロマチンリモデリング機構の異常を標的とした治療薬は卵巣がんにおいて未開発であるが、転移能やシスプラチン感受性を調節することを明らかにすることで、これまで治療抵抗性であった腫瘍の予後改善に寄与すると考えられる。癌患者と健常者又、遺伝子型に応じてメタボロームプロファイルが異なることを見出したことから、遺伝子型に応じた個別化治療につながると思われる。
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