研究課題/領域番号 |
21K09606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鎌倉 武史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (30600564)
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研究分担者 |
太田 有美 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00598401)
滝本 泰光 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (00624298)
佐藤 崇 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30756002)
近藤 誠 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50633012)
今井 貴夫 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80570663)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | TRPV1受容体 / 前庭機能障害 / 前庭動眼反射 / 前庭障害 |
研究開始時の研究の概要 |
TRPV1受容体は一般体性感覚系に発現し、炎症性疼痛に深く関与している。我々は前庭神経系でのTRPV1受容体の発現や機能解析を行ってきた。その結果TRPV1受容体が前庭神経節に発現していることを組織学的手法だけでなく生理学的手法も用いて確認し、イオンチャンネルとして機能し得ることを明らかにした。以上からTRPV1受容体がめまい症状への関与が示唆されるが、その機序は未だ完全に解明されていない。本研究の目的は前庭系でのTRPV1の機能解析によってめまい発生の機序を解明し、TRPV1をターゲットにした従来の治療法より効果的なめまい治療法を開発することである。
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研究実績の概要 |
我々の過去の報告(Takimoto Y, et al., Toxicol Lett, 2016)では内耳毒性のあるシスプラチン4㎎/kgを4日間マウスに投与した時に前庭動眼反射におけるVOR利得が低下することを示し、シスプラチンにより前庭機能の低下を来たすことが示唆している。このモデルを用いて実験を進めることとした。実際にはシスプラチンによる前庭動眼反射におけるVOR利得の低下がTRPV1受容体の選択的アンタゴニストであるカプサゼピンを投与することで抑制できるか、つまりカプサゼピンがシスプラチンによる前庭系への障害が抑制できるかを検討している。 以前の実験において、カプサゼピン5㎎/kg投与30分後にシスプラチン4㎎/kg投与、これを4日間連続でマウスに投与し、VOR利得の低下がコントロール群に比べて抑制できる可能性が示唆されたため、本格的にこの実験を前年度から行っている。マウスを、カプサゼピン1㎎/kgの群とカプサゼピン5㎎/kg、そしてコントロール(10%DMSO)の3群に分け、カプサゼピン投与30分後にいずれの群にもシスプラチン4㎎/kg投与、これを4日間連続でマウスに投与し、5日目に前庭動眼反射を計測した。既に各群10匹ずつ、合計30匹の実験は終了しているものの、解析にかなり時間を要しており、その次に予定している組織学的、生理学的実験になかなか進めていない。実験そのものが5日間連続で行わないといけないため、スケジュールの調整が難しく、思うように実験が進まなかったことと、実験の解析にどうしても時間がかかることが理由である。 現時点でお出しできるVOR利得のデータでは、生食投与群(コントロール)のVOR利得:0.69±0.04、シスプラチン4mg/㎏投与群のVOR利得:0.59±0.04、シスプラチン4mg/㎏+カプサゼピン1mg/㎏投与群のVOR利得:0.75±0.09とカプサゼピンでシスプラチンによるVOR利得の低下を抑制できる可能性がみられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
眼球運動解析による前庭動眼反射におけるVORゲインの計算に時間がかなりかかっているのが主な要因で、他の実験も準備が十分に進んでいないことが要因である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画では、残っている実験結果の解析を行い、VOR利得の結果を確認する。 一部のマウスでは十分に測定できていない可能性も考えられるため、追加での実験を行うことも想定はしている。また生理学的実験であるカルシウムイメージングにより前庭神経節細胞を用いた細胞内カルシウム濃度の変化を測定する実験については、上記実験の解析結果を踏まえて条件を検討し、行う予定で、以前に私たちが報告した塩化カリウムを用いた動物モデル(Kamakura T et al., Audiol Neurotol, 2019; 原田祥太郎, 他. Equilibrium Research 82, 533-539)も用いた検討も行うことを計画している。さらに免疫染色など組織学的実験も行う計画である。
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