研究課題/領域番号 |
21K09606
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鎌倉 武史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30600564)
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研究分担者 |
太田 有美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00598401)
滝本 泰光 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (00624298)
佐藤 崇 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30756002)
近藤 誠 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50633012)
今井 貴夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80570663)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | TRPV1受容体 / 前庭障害 / 前庭動眼反射 |
研究実績の概要 |
マウスを用いて内耳毒性のあるシスプラチンを投与した際の前庭動眼反射を見る実験から始めた。これは過去の我々の報告の検証実験的なものであるだけでなく、今後のデータのコントロールになる重要なものである。 マウスを、生理食塩水を投与した群、シスプラチン2㎎/kg投与した群、シスプラチン4㎎/kg投与した群の3群に分け、それぞれ4日間連続で投与し、5日目に前庭動眼反射を計測し、周波数2Hzの刺激条件におけるVOR利得を計算した(投与期間は4日間)。シスプラチン4㎎/kg投与した群でほかの2群に比べてVOR利得が低下するという、過去の報告(Takimoto Y, et al., Toxicol Lett, 2016)と同様の傾向がみられるを確認した。 次にそのシスプラチンと、TRPV1受容体の選択的アンタゴニストであるカプサゼピンを投与した際にシスプラチンによる前庭動眼反射におけるVOR利得の低下が抑制できるか、つまりカプサゼピンによりシスプラチンの前庭系への障害が抑制できているかを実験している。マウスを、カプサゼピン1㎎/kgの群とカプサゼピン5㎎/kgの2群に分け、カプサゼピン投与30分後にどちらの群にもシスプラチン4㎎/kg投与、これを4日間連続で投与し、5日目に前庭動眼反射を計測した。その計測結果の解析を進めているところだが、カプサゼピン投与群の方がVOR利得の低下が抑制できる可能性があった。 またカルシウムイメージングにより前庭神経節細胞を用いた細胞内カルシウム濃度の変化を測定する実験については、徐々にその準備を進めている段階で、準備出来次第開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カルシウムイメージング用いて前庭神経節細胞内カルシウム濃度変化の測定を行う実験について、実験の準備は進んでいるが、まだ本格的に始動していない状態であることと、シスプラチンを投与して前庭動眼反射を見る実験については眼球運動を計測して解析を行う作業に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今までに行った実験で、カプサゼピンによってシスプラチンによるVOR利得の低下を抑制できる可能性が示唆されたことから、引き続きマウスにシスプラチンを投与して前庭動眼反射を見る実験を行い、nを増やしていくことと、シスプラチン濃度によってグループを少し増やしていくことを行う。また、シスプラチンに加え、カプサゼピンも投与した群の前庭動眼反射の解析を現在行っているが、これを引き続き進めることと、こちらのグループもnを今後増やすべく実験を継続する。 さらに、プライマリーカルチャーを行った前庭神経節細胞(ラット、マウス)を用いて、カルシウムイメージングを行い、細胞内カルシウム濃度の変化を見る実験を開始する。これによりTRPV1を発現している神経細胞数が増える因子を検索する予定である。シスプラチンの影響のほか、以前に予備実験として行った神経栄養因子を用いる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主にカルシウムイメージングがまだ準備段階のため、開始できていない部分で支出が少なくなったため、次年度使用額が生じたものと考えており、できるだけ早くカルシウムイメージングが開始できる状態にしたいと考えている。
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