研究課題
基盤研究(C)
唾液腺に生じる硝子化明細胞癌では、12番染色体と22番染色体の転座による融合遺伝子EWSR1-ATF1が93%の症例にみられると報告されており、融合遺伝子産物が異常な転写活性を有し、発癌を誘発することが予想されている。しかしながら、硝子化明細胞癌の発生におけるEWSR1-ATF1の詳細な役割に関しては未だ解明されていない。本研究では、唾液腺硝子化明細胞癌の発生においてEWSR1-ATF1がドライバー変異である蓋然性が高いと考え、EWSR1-ATF1を発現する遺伝子改変マウスを作製し、EWSR1-ATF1発現細胞における当該融合遺伝子の機能を解析することを目的とする。
唾液腺癌は頭頸部癌のうち3-5%を占め、多彩な組織型を示すが、発癌過程における融合遺伝子の機能は明らかでない。唾液腺に生じる硝子化明細胞癌では、12番染色体と22番染色体の転座による融合遺伝子EWSR1-ATF1が93%の症例にみられるとの報告があるため、融合遺伝子産物が異常な転写活性を有し発癌を誘発することが想定される。本課題の目的は唾液腺における硝子化明細胞癌の発生に関する EWSR1-ATF1の役割の解明である。Creloxpシステムによって唾液腺特異的にEWSR1-ATF1を発現し、他部位では当該融合遺伝子を発現しない条件特異的遺伝子改変マウスを作製し、現在表現形質の解析中である。
単一の遺伝子変異がドライバー変異となる癌が存在することが明らかとなっており、これまでの発生臓器・病理形態分類とは別に、ゲノム情報による分子分類も現実になりつつある。染色体転座による融合遺伝子もドライバー変異の中のひとつと考えられている。悪性腫瘍の原因として融合遺伝子が挙げられるが、遺伝子解析法の進歩により肉腫、肺癌などの固形腫瘍でも新しい融合遺伝子が見出されている。頭頸部領域では、唾液腺癌で複数の融合遺伝子が報告されているが、その発癌過程における融合遺伝子の機能は不明であり、EWSR1-ATF1発現細胞における当該融合遺伝子の機能を明らかにし、新しい治療標的を見出すことに学術的意義がある。
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