研究課題/領域番号 |
21K09736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
檜森 紀子 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (20705230)
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研究分担者 |
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 緑内障 / 女性ホルモン / 酸化ストレス / 神経保護 / エクオール / Nrf2 / ミトコンドリア障害 / ロテノン / 神経栄養因子 / vimentin / GFAP / 網膜神経節細胞 / 網膜グリア細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
緑内障は多因子疾患とされており、患者個々人において発症・進行に関わる分子メカニズムが異なる可能性が指摘されている。多因子の中で酸化ストレスが緑内障の発症・進行に関与していることが注目されている。 緑内障剖検眼により網膜グリア細胞の活性化が認められ、また酸化ストレスによる緑内障モデル動物において、神経障害がまだ認められない早期の段階で網膜グリア細胞の活性化を認めることから、酸化ストレスの網膜グリア細胞に与える影響が緑内障病態に中心的な役割をはたしている可能性がある。 そこで、酸化ストレスとグリア細胞の分子基盤を明らかにし、網膜グリア細胞をターゲットとした神経保護治療への発展を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は緑内障と女性ホルモンに関する研究を取り組んだ。 臨床研究では、緑内障とエストロゲンの関連が指摘されており、緑内障患者のエクオール産生能有無との関連を検討した。対象は当院通院中の正常眼圧緑内障 (NTG) 58名 (男:女=22:36、平均年齢 59.7 ± 6.7)。女性は閉経後のみ対象とした。尿中エクオール濃度をELISA法で発色強度を定量化した。ハンフリー視野を用いてMDを算出し、Mann-Whitney U検定を用いてエクオール産生と非産生群を比較検討した。尿中エクオール0.9μM未満(level1・2)をエクオール非産生者、1.0μM以上(level3-5)をエクオール産生者とした。エクオール産生者は非産生者と比較して性別、年齢、眼圧に有意差は見られなかったが、MD値は有意に軽度であり(P=0.03)、エクオールはNTGの進行抑制に関与する可能性が示唆された。 基礎研究では、網膜ミュラー細胞は炎症性サイトカインのソースでもあり、IL-1β刺激で多量のIL-6を分泌する。また、Nrf2は酸化ストレスや抗炎症に関与する重要な転写因子である。神経保護効果を持つと報告されている17βエストラジオール (E2)のミュラー細胞における抗炎症効果とNrf2の関与を検討した。野生型 (WT)とNrf2ノックアウト (KO)マウスからミュラー細胞を初代培養し、IL-1βで刺激24時間後、培養上清中のIL-6濃度をELISA法で測定した。E2とERB-041(ERβアゴニスト)のIL-6抑制効果をWTとNrf2KO ミュラー細胞において比較した。E2はERβシグナルを介してミュラー細胞におけるIL-1β刺激によるIL-6分泌を抑制し、さらにNrf2欠損状態ではミュラー細胞におけるERβの発現上昇によりこの効果が増強する可能性があることが明らかになった。
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