研究課題/領域番号 |
21K09899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山本 松男 昭和大学, 歯学部, 教授 (50332896)
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研究分担者 |
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
相澤 怜 昭和大学, 歯学部, 助教 (80710673)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 接合上皮 / 歯周組織 / 幹細胞 / クローン細胞集団 / 歯周病 / 多色細胞系譜の追跡 |
研究開始時の研究の概要 |
接合上皮は活発に増殖し自然免疫の中心的役割を果すが、その組織維持システムの解明には至っていない。これまでの多色細胞系譜追跡法を用いた研究により、基底層から歯肉溝までの全ての細胞が一色の細胞集団「区画」が観察され、複数の区画により接合上皮が構成されることと区画を維持する幹細胞が存在することが推察されている。そこで、区画の組織構造、構成細胞の性質と供給システムを解明し、また幹細胞の同定を行うこととした。細胞系譜追跡法による区画の三次元的解析、細胞の階層性解析を迅速に進め、両者は補完的な性質のデータであるので、最終年度に統合的に展開し、幹細胞の局在の確認を行うこととした。
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研究実績の概要 |
接合上皮は歯頸部で歯面に密着し異物の侵入を防ぐことで自然免疫の中心的な役割を果す。SPF飼育環境のマウスに比較して、通常環境で飼育した同種マウスの接合上皮では炎症反応が亢進し細胞分裂も盛んであることが示されている。組織恒常性維持のために盛んな細胞分裂が知られているが、それを維持する幹細胞の存在や細胞供給システムの解明には至っていない。これまでに多色細胞系譜追跡法により、1つの幹細胞に由来するクローン細胞集団の可視化にとりくんできた。タモキシフェンによりCre発現を制御できるレインボウ蛍光発色マウスを用いた解析系を確立し、発色後24週で接合上皮の基底層から歯肉溝までの全ての細胞が単色となる事を明らかにし、1つの幹細胞に由来するクローン細胞集団であることを確認した。本研究の目的は、クローン細胞集団内で幹細胞を頂点とする細胞ヒエラルキーの視点から階層性を解析することである。 H30-R2年度科研費基C「多色細胞系譜追跡法を用いた歯肉接合上皮幹細胞の探索」(本人代表)で構築したRosa26CreERT2/+×Rosa26rbw/+マウス解析系を用い、接合上皮の前頭断面では外側基底板を底辺とし、エナメル質に沿って歯肉辺縁までの三角形の領域がクローン細胞集団の概形であことが明らかとなった。BrdUおよびEdUを用いた細胞分裂の盛んな領域の解析では基底層やエナメル質に接する層で細胞分裂が盛んであった。接合上皮幹細胞はWnt反応性の細胞であるとの報告がなされたので、Wnt下流遺伝子の1つであるβカテニンを検出することで追試を行ったところ、外側基底板のエナメル質から最も離れた端にある増殖細胞で、βカテニン陽性細胞の確認が出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症により、試薬の納品遅延、研究打ち合わせの会議開催ができない期間があったことなどから、計画内容を完遂するところまではいかなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である、接合上皮組織の恒常性の維持、すなわち細胞供給システムの解明においては幹細胞の存在の証明が本質的な課題である。計画としては若干の遅れがあるものの研究進捗会議等を定期的に開催し、幹細胞の性質を示すマーカーの検出や、クローン細胞集団の形成過程の観察など目的の達成に必要な項目の達成を加速させる。
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