研究課題/領域番号 |
21K09914
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30220718)
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研究分担者 |
吉羽 永子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10323974)
枝並 直樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80804567)
細矢 明宏 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70350824)
入江 一元 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70223352)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 歯髄 / 創傷治癒 / 間葉系幹細胞 / Gli1陽性細胞 / バイオセラミック / Gli1 / バイオセラミックス / 象牙芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
歯の保存には歯髄の保護・保存が重要であり、生活歯髄保存療法や失われた歯髄に対して再生歯内療法が試みられている。しかし歯髄の創傷治癒・再生過程において中心的役割を果たす間葉系幹細胞の動態と象牙芽細胞への分化誘導機構は未解明である。本研究では、転写因子Gli1発現細胞の動態を細胞系譜解析により検索するとともに、新生象牙芽細胞の分化過程における一連のシグナル分子の発現を解析し、細胞分化誘導因子を同定する。以上より、自己組織に含まれる間葉系幹細胞のホーミングと細胞分化を促進する歯髄/象牙質再生療法・再生歯内療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
歯髄保存療法や再生歯内療法応用後の創傷治癒・再生過程における間葉系幹細胞(MSCs)の動態と細胞分化・硬組織形成機構について検索するとともに、覆髄材・根管充填材として注目されているバイオセラミック配合材料の歯髄・歯周組織の創傷治癒に与える影響について検討を進めている。 遺伝子改変(Gli1-CreERT2/Tomato)マウス臼歯を抜去し、野生型マウスの皮下に移植すると分岐部に骨組織の再生が観察され、骨芽細胞および骨細胞にGli1陽性反応が検出された。これらの結果から、歯根膜に局在するGli1陽性細胞がMSCsとして歯槽骨の再生に関与することが明らかにされ、再生歯内療法応用後の根尖部の治癒過程においてもこれらの細胞が関連する可能性が示唆された。また、遺伝性アスコルビン酸(AA)合成不能ラット(ODSラット)においては、正常ラットに比較して直接覆髄後の被蓋硬組織形成が遅延し、覆髄部に厚いOsteopontin陽性層と、CD68およびCD206陽性マクロファージの集積が観察された。これらの結果から、AAが歯髄創傷治癒過程における象牙芽細胞様細胞分化と抗炎症反応に関与している可能性が示唆された。 さらに、ラット臼歯抜髄後に根尖孔外に漏出させたバイオセラミック配合材料の根尖部創傷治癒に及ぼす影響について検討した。その結果、いずれも根尖部歯周組織に著明な炎症反応を惹起せず、一部材料では組織中にアパタイトを形成することが示され、これら材料の有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19拡大の影響で、当初予定していた遺伝子改変マウスを用いた直接覆髄実験が実施困難となった。そのため、ラットを用いた歯髄保存療法・再生歯内療法について検索するとともに、これらに応用されるバイオセラミック配合覆髄材・根管充填材の創傷治癒・再生に与える影響についての検討を合わせて実施した。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子改変(Gli1-CreERT2/Tomato)マウス臼歯の歯髄および歯根膜からからGli1陽性細胞の分取・培養を試み、これら細胞の硬組織形成細胞、特に象牙芽細胞への分化誘導因子の同定を試みる。さらに、これら細胞を皮下移植、断髄あるいは抜髄後に応用し、組織再生・硬組織形成誘導能について検討する。また、歯髄保存・再生療法モデルラットを用いた創傷治癒・再生機構についての検索を進めるとともに、これらの処置に有用な生体材料についての検討も合わせて実施する。
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