研究課題/領域番号 |
21K09969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
依田 信裕 東北大学, 大学病院, 講師 (20451601)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
土方 亘 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30618947)
伊藤 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40451992)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 咬合力 / 静電誘導型発電シート / パラファンクション / オクルーザルスプリント / IoT |
研究開始時の研究の概要 |
補綴歯科治療や顎関節症への対応に際しては,機能運動やパラファンクション時の上下顎歯列の接触,さらには歯列内での咬合接触の部位,同部における咬合力の大きさ,を把握することが必要であるが,それらを客観的に把握しうる方法は無く,適切な装置開発のための技術基盤が必要とされている. 本研究は,咬合接触部位や咬合力のセンシングデバイスとして「静電誘導型発電シート」を活用し,さらにIoT技術を応用し出力を無線通信化することで,咀嚼などの機能的な下顎運動時,ブラキシズム等のパラファンクション時に歯列上に発現する咬合接触部位ならびに咬合力を日常環境下にてリアルタイムで測定しうる技術の開発を試みる.
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研究実績の概要 |
本研究は,噛みしめや咀嚼などの機能時における歯列上の咬合接触状態,ならびに同部位にて発揮される咬合力を調査可能なセンシングデバイスとして,加わる圧縮力に応じて発電量が変化する特性を有する「静電誘導型発電シート」の活用方法を探索した.これまで研究分担者の東工大の土方らが開発した「静電誘導型口腔内発電シート」を改良し,このシートを歯科一般臨床においてマウスガードや,オクルーザルスプリント等にて用いられている樹脂製シートに埋め込み、上下の歯の接触の有無,その咬合接触部位,ならびに同部における咬合力を発電量変化から解析するシステムの構築を試みた. オクルーザルスプリントの材質は,歯科臨床において実際に使用されるPET樹脂とし,2層のPET樹脂の間に発電シートに埋め込む方式を採用した.ベンチテストにより,装置を埋め込んだPET樹脂上に一定の周波数で定荷重を負荷し,負荷荷重力とセンサ出力の関係を調査した結果,負荷荷重量とセンサ出力の間には良好な相関が認められた. 次にPET樹脂の厚みが出力に及ぼす影響について検索した.実際の口腔内応用を考慮すれば,測定装置の厚みは薄くし,装着車の違和感を可及的に小さくする必要がある.そのため,装置の薄型化の実現が必須となる.本年度は厚みが0.5mm,0.6mm、0.8mmのPET樹脂を対象とし,発電シートを埋め込み,PET上に定荷重(10N, 20N)の加圧および脱圧を行った.この際,加圧と脱圧との間に十分な時間間隔を確保した.結果として,どの厚みのPET樹脂においても安定した出力波形が確認された.しかし,荷重量が同一でもPET樹脂の厚みにより出力値が異なり,0.5mm厚のPET樹脂にて出力値が大きくなった.今後,最も薄い0.5 mmのシートについて負荷荷重量とセンサ出力との関連をさらに調査し,咬合力測定装置の開発を進捗させる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き,オクルーザルスプリントへの発電シートの包埋,既知の荷重を負荷するベンチテストの実施,荷重時の出力電圧測定値の妥当性の検証を行い,本年度はさらにPET樹脂の厚さの決定に至ることができた.また,ウェアラブル化において重要な無線システムについては,研究分担者の伊藤と共に技術開発に着手し,実際にオクルーザルスプリント内に包埋可能な回路の設計および製作を開始している.さらに,本年度は実際に開発した装置の口腔内試験を行うための研究倫理申請を行い,研究実施に対する承認を得た.
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今後の研究の推進方策 |
今後は開発した装置の口腔内使用を想定し,装置の設計の詳細について決定する.さらに装置の出力については口腔内温度における変化について調査する.実際に口腔内テストを実施した上で,装置に対する必要な改善を実施し,機能についてもアップデートする.具体的には機能時における咬合接触の位置の同定,ならびにそれぞれの咬合接触部位の同定が出来るような発電シートの配置と配線の検討を行う. また,無線通信部の低消費電力化として開発済の低電力インパルス無線送信機については,出力インパルスの中心周波数は約700MHz,帯域は約200MHzでありことが分かっており,現在出力アンテナの小型化が進行中である.このアンテナ回路の開発が進捗し,口腔内装置への組み込みが可能となれば,ウェアラブル装置として日常生活中の咬合力測定を実施する.
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