研究課題/領域番号 |
21K09980
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中島 和慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (40707246)
|
研究分担者 |
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
石崎 明 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (50456654)
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40443915)
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | インプラント周囲炎 / デンタルインプラント / マクロファージ / 薬剤関連顎骨壊死 / BRONJ / ビスホスホネート製剤 / LPS / 難治性硬軟組織疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔内には治癒が困難な硬組織と軟組織の疾患が多く存在する.しかしながらその多くは病因が不明で治療法が存在していない.一方,免疫系で重要な細胞のひとつにマクロファージがあり,自然免疫と獲得免疫の両者に重要な役割を果たすとされている.この研究では,口腔内の難治性疾患を対象とし,マクロファージの役割を多面的に明らかにして治療法の開発につなげることを目的として実験を行う.
|
研究実績の概要 |
歯科インプラントを用いた欠損補綴治療は予知性の高い優れた治療選択肢であるが,健康寿命の延伸に伴い一層の長期安定性が求められている.一方,インプラント周囲に惹起されるビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死(Implant-BRONJ)とインプラント周囲炎は両者とも難治性の硬軟組織疾患であり,病因は不明で確定的な治療法はなく,臨床的に大きな問題となっている.一方,マクロファージは炎症や創傷治癒に重要な役割を果たす免疫細胞のひとつで,近年では炎症性マクロファージ(M1マクロファージ),組織修復性マクロファージ(M2マクロファージ),ならびに骨性マクロファージ(Osteomacs)の存在と機能が解明されつつあるが,口腔内硬軟組織におけるこれらマクロファージの分布や機能は不明である.研究代表者らは,細胞移植によりマウスBRONJが治癒・寛解し,組織内ではM2マクロファージとM1マクロファージの比率がM2へシフト(極性変化)することを突き止めた.本研究は,マクロファージの極性制御を基軸とし,難治性硬軟組織疾患であるImplant-BRONJとインプラント周囲炎の病因解明と新規治療法開発に対する基盤を構築することを目的とした. 本年度はインプラント周囲炎モデルに対する細胞移植療法の検討を主眼において研究を行ったが,インプラント周囲炎モデルラットでは,移植細胞確保のために屠殺するラットの数が多すぎるため,実行が困難であることが分かった.そこで動物をマウスへと変更し,現在マウス用インプラントを開発するとともに,インプラントは存在しないものの,マクロファージの移植が難治性疾患のひとつである薬剤関連顎骨壊死マウスモデルに奏功することが明らかとなり,すでに学会発表が行われ,論文化の最中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物種を変更したものの,マクロファージの細胞療法が難治性疾患モデル動物に奏功することは証明し,あらたにマウス用インプラントも開発していることから,(2)おおむね順調に進展している,と判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
1)インプラント周囲炎またはインプラントBRONJモデルマウスを開発し,細胞移植を行う.通法に従いラット骨髄細胞をM-CSF,LPS,IFN-γで処理,またはM-CSF,IL-4,IL-10で処理し,それぞれM1とM2マクロファージを得る.得られたマクロファージはイメージングフローサイトメーターとRT-qPCRで極性を確認する.マクロファージは生理食塩水に懸濁し,病態形成前または後にインプラント付近頬粘膜に1回局所注射移植する.時系列で屠殺を行って上顎を採取し,詳細な解析を行う.培養上清を濃縮した液性因子のみの移植群も作製後,詳細に解析する. 2)2つの異なる難治性疾患モデルから得られた情報を統合して治癒や病態形成に関わる分子の同定に挑戦し,各疾患の病因や治療法開発の基盤を構築し,論文化を目指す. ①前半1年半で作製した,各疾患モデル,M1マクロファージ移植による疾患悪化モデル,マクロファージ移植による疾患治癒モデル(または各マクロファージの液性因子を移植した疾患悪化・治癒モデル)に対するマイクロアレイデータ(受託)と各種解析結果データから得られた情報を統合し,治癒や病態形成に関わる可能性が高い候補分子2つを選択する.②候補分子とその阻害薬を入手し(合成は困難のため,存在しない場合は類似物質を入手),それぞれの疾患モデル作製前と作製後にインプラント周囲組織に局所投与する.②-(1)モデル作製前に候補分子またはその阻害薬を投与し,病態形成が抑制または促進されれば,病因・病態形成に関与する分子が同定できたと判断する.②-(2)モデル作製後に候補分子またはその阻害薬を投与し,病巣が治癒または悪化すれば,治癒に関与する分子が同定できたと判断する.なお,モデルマウスの開発が両者行えない場合には,Implant-BRONJモデルマウスを優先する.
|