研究課題/領域番号 |
21K10002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下江 宰司 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (90379884)
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研究分担者 |
加来 真人 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (10325194)
平田 伊佐雄 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40346507)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | PEEK / 歯冠用コンポジットレジン / 義歯床用アクリルレジン / 接着 / 機械的維持 / 化学的処理 / プライマー / 表面処理 |
研究開始時の研究の概要 |
高性能ポリマーであるポリエーテルエーテルケトン(以下PEEK)は、高い強度や生体安定性、生体適合性に加え、ジルコニアに比べても高衝撃吸収性、高弾性、軽量、低熱伝導率であることから、メタルフリーへの新材料としての応用が期待されている。 一方、不透明な材料であるPEEKを広く臨床で応用するためには、高分子材料との複合化が必須である。 本研究では、PEEKと歯冠用コンポジットレジンおよび義歯用アクリルレジンの複合化に重点をおき、広く歯科治療において応用可能な新技術を開発することを目的とする。
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研究実績の概要 |
最終年度はまず,PEEKとの接着に重要な表面処理において,最も一般的なアルミナブラストの粒径の違いによる影響を検討した.アルミナ粉末は粒径25 μm,50 μm,90 μm,125 μmを使用し,歯冠用コンポジットレジン,義歯床用アクリルレジンそれぞれへの影響を検討したところ,歯冠用コンポジットレジンでは熱耐久試験の有無に関わらずアルミナブラストなしものと比較して優位に高い値を示し,50 ,90,125 μmで最も高い値となった.義歯床用アクリルレジンでは熱耐久試験の有無に関わらずアルミナブラストなしものと比較して優位に高い値を示したが,粒径による差は見られなかった. 次に我々がジルコニアと高分子材料の複合化で開発したレーザーによる格子状の維持装置について,効果的な化学的処理を検討した.被着材料は歯冠用コンポジットレジン,格子状の維持装置はピッチ,幅,深さ50 μmとし,無処理と4つのプライマーとした.その結果,熱耐久試験前ではVisioLinkだけが無処理に比べ優位に高い値を示し,耐久試験後はVisioLink,HCプライマー,スーパーボンドが優位に高い値を示した. 研究期間全体の成果においては,PEEKと高分子材料の複合化において,化学的処理ではMMAを含み光重合して層を形成するプライマーが有効なことが明らかになった.また機械的維持は,最も簡便に用いられるアルミナブラストではPEEK材の破損等を考慮すれば,気圧は0.3MPa前後,粒径は50 μm前後が最も効果的と考えらた.さらにアルミナブラスト以外の機械的維持では,レーザーによる格子状の維持がさらに効果的なことが示唆された. これらの成果により,PEEK材は単体で臨床に用いるだけでなく,高分子材料と複合化した補綴物を使用することが可能であると考えられ,歯科治療において新たな選択肢ができたと思われる.
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