研究課題
基盤研究(C)
あらゆる癌に高発現し細胞の不死化に大きな影響を与えているテロメラーゼを標的とした抗癌剤の開発は、既存の薬物と比べて副作用が少なく癌特異的な作用を発揮することが期待されている。連携研究者である竹中らはアントラキノン(AQ)の置換基を連結させた環状AQ(cAQ)の合成に成功した。4本鎖DNA構造に特異的に結合しテロメラーゼの作用を阻害すると考えられるcAQはin vitroとin vivoの系で有効性と安全性が確認されつつある。本研究では薬理作用や薬物動態について詳細な検証を進めながら、一般毒性試験も実施して臨床応用に繋がる基礎データを取得することを研究計画の核としている。
我々はテロメアDNA構造に高い結合特異性をもつ環状アントラキノン(cyclic anthraquinone;cAQ)が、培養細胞レベルで正常細胞よりも癌細胞に対して強い増殖抑制効果を示すことを確認してきた。今回cAQの抗腫瘍効果および安全性について個体レベルで検討した。cAQはマウス個体レベルでも抗腫瘍効果を示し、かつCDDPと比較して正常組織への毒性が低く、安全性の高い新たな抗腫瘍薬開発に貢献することが期待される。
癌による死亡者数は年々増加しており、様々な新規癌治療薬が開発されているが、有効で、副作用が少ないという理想的な薬剤の開発に至れていないのが実情である。テロメラーゼは正常細胞では少なく、癌細胞で極めて高率に発現していることから新たな抗癌剤開発の標的として期待され、さまざまな化合物が開発されている。本研究ではテロメラーゼを標的とした新規化合物cAQについて、In vitroおよびIn vivoの系で癌に対する抗腫瘍効果および安全性について検討してきた。その結果、cAQは新規癌治療薬として有望であると考えられる。
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Bioorg. Med. Chem. Lett.
巻: 50 ページ: 128323-128323
10.1016/j.bmcl.2021.128323