研究課題/領域番号 |
21K10137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内橋 俊大 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60757839)
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研究分担者 |
犬伏 俊博 大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (30550941)
伊藤 博崇 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30863815)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | がんウイルス療法 / 口腔癌のウイルス療法 / 顎骨浸潤 / 遺伝子治療 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔癌はその解剖学的特徴から速やかに顎骨へ浸潤する。顎骨浸潤を伴う口腔癌に対する 既存の治療法では、手術療法や放射線療法後のquality of life (以下 QOL) の著しい低下を伴う。本研究は、現在東京大学において膠芽腫や悪性胸膜中脾腫に対し臨床試験が進行中である第三世代がん治療用遺伝子組換えHSV-1 (G47Δ) と同様の機能を有する T-01 に抗腫瘍免疫刺激因子である Interleukin-12 (以下 IL-12) を発現させたがん治療用ウイルス (T-mfIL-12) を用いて、マウス顎骨浸潤モデルにおける抗腫瘍効果、特に骨浸潤部に対する効果を検討し、臨床応用を目指す。
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研究実績の概要 |
進行口腔癌、特に下顎歯肉癌は、その解剖学的特徴から比較的速やかに下顎骨へ進展、骨破壊をきたし、病的骨折に伴う摂食障害や疼痛により QOL を大きく低下させるだけでなく、骨破壊の進展は遠隔転移や生命予後と密接に関係する。現在手術を中心とした集学的治療が行われているが、制御率は未だ不充分であり、手術療法による顎顔面の器質的欠損、放射線療法に後発する放射線性顎骨骨髄炎などに起因する QOL の著しい低下を伴う。第三世代がん治療用ウイルスG47Δは、癌細胞でのみ高いウイルス複製能を示し、同時に強力な抗腫瘍免疫を惹起することができ、安全性を維持しながら極めて高い抗腫瘍効果を有する。G47Δ は東京大学医科研病院において膠芽腫に対して医師主導治験が行われ、一年生存割合 が92.3%(13例中12例が治療開始後1年以上生存)と標準治療の1年生存割合15%に比べ格段に向上しなおかつ高い安全性を認め、2021年5月に膠芽腫の新規治療薬として承認された。一方IL-12 は、それ自体が高い抗腫瘍効果を有するだけでなく、INF-γ の発現を介して破骨細胞の形成を抑制する作用を持つ。悪性腫瘍による骨破壊は、腫瘍細胞により直接的に生じるわけではなく、破骨細胞の形成誘導により生じることが知られている。このことから破骨細胞の分化形成を抑制する IL-12 は、口腔癌の進行に伴う骨浸潤に対して効果的に作用することが期待できる一方、その全身投与による致死的な有害事象が問題となる。そこで、任意の外来遺伝子をG47Δ の基本骨格に組み込むことができるT-BAC システムを用いて開発された、マウスIL-12 発現型ウイルス(T-mfIL-12)を腫瘍顎骨浸潤部局所で発現させることで、全身的有害事象のリスクを抑えながら優れた抗腫瘍効果さらに骨吸収抑制効果を示すのではないかと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C3Hマウス由来SCCVIIをマウス咬筋部に接種すると腫瘍は増大を来しながら顎骨を破壊する。本モデルを確立し、マイクロCTにて骨吸収の経過を見ることとした。まず、recombinant IL-12 を投与し、PBSをコントロールmock、T-01(コントロールウイルス)、T-mfIL-12をそれぞれ下顎骨膜付近に投与し、腫瘍体積および骨吸収量を経時的に観察したところ、有意な浸潤(骨吸収)抑制効果を得られたとともに、real time PCRや免疫染色の結果から、この効果はT細胞に由来するものではないかという結論に至った。ウイルスを用いた実験では、T-mfIL-12はT-01に比して有意に腫瘍増大抑制効果があり、また、骨吸収量は有意差はないものの、抑制傾向にあった。同時に、骨吸収量ではT-01はmockに比して有意差はないが、T-mfIL-12は有意差をもって抑制した。T-mfIL-12は従来の第三世代がん治療用HSV-1より有意に高い抗腫瘍効果を口腔扁平上皮癌で発揮すると共に、高い骨浸潤抑制効果を持つことが期待される結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
recombinant IL-12 を用いた実験を共に実験を進める。がん治療用ウイルスは、感染した細胞から次々にサイトカインが産生され、複製と共にこの効果は継続するため、さらなる効果が期待される。T-mfIL-12(T-01, mock)投与後の腫瘍を摘出し、骨吸収抑制効果の機序の検討のために、骨浸潤部の破骨細胞の TRAP 染色、q-PCR および ELISpot assay にて骨代謝関連因子の解析、すなわち mRNA (ACP5, CTSK, INF-γ, Fas, Fasl) 発現量、および INF-γ 産生量、産生細胞数の割合の検討を行う。T-mfIL-12 は、免疫正常能を持つマウスで著明な抗腫瘍効果を示すことがこれまでのin vivoの実験で明らかとなっている。すなわち、ヌードマウスにおいて同様の効果を T-mfIL-12 が示すかを本マウスモデルで確認し、特に T 細胞の活性化サイトカインである INF-γ・Fasl について検討することで、本実験における骨吸収抑制効果の機序に T細胞がいかに関わっているかを検討する。
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