研究課題
基盤研究(C)
癒合歯はヒトの顎が進化の過程で短縮してきたことにより、歯胚同士の間隔が狭くなったために隣り合う歯胚が癒合するとする人類の歯の退化の1つの現象とする考え方もあることからその遺伝因子の解明は歯科にとどまらない人類学・人類遺伝学、人類進化学、分子生物学においても大きな学術的波及効果が期待できる。日本人での発症率・出現頻度が高い疾患であれば、本研究成果が国民に還元できるところは大きく、その解明は急務である。
癒合歯は、顎顔面領域に見られる不正咬合を惹起する頻度の高い疾患の一つであるにもかかわらず、原因は全く分かっていない。興味深いことに日本人に多く、家族性を認めることから、遺伝的関与は明らかである。一方、“全エクソンシーケンス(Exome sequencing)”により、家族性稀少疾患の原因遺伝子同定の成功例が数多く報告されるに至っている。歯牙の形成機序を理解することは不正咬合の病態を理解し、不正咬合の新たな予防法・治療法を確立するための重要な課題である。本申請課題の目的は不正咬合の原因ともなる癒合歯について、すでに本申請課題研究代表者が収集した下顎癒合永久歯前歯の家族性を呈する2家系から次世代シーケンサーによる全エクソンシーケンスにより、候補遺伝子を抽出するのに加え、別の約20罹患者からその原因遺伝子変異を同定する。①候補遺伝子の抽出から、2021年度に解析した家系症例以外の約20罹患者について候補遺伝子のリシーケンスを行った。すべてのエクソンとプロモーター領域(1kb)をPCR増幅し、次世代シーケンサー(GA II)でリシーケンシングを行った。②各々の症例における変異と臨床的多様性について考察した。原因変異の Genomic Evolutionary Rate Profiling フレームワークにて、種間の遺伝的配列の保存性を評価した。
1: 当初の計画以上に進展している
①候補遺伝子の抽出から、2021年度に解析した家系症例以外の約20罹患者について候補遺伝子のリシーケンスを行った。すべてのエクソンとプロモーター領域(1kb)をPCR増幅し、次世代シーケンサー(GA II)でリシーケンシングを行った。②各々の症例における変異と臨床的多様性について考察した。原因変異の Genomic Evolutionary Rate Profiling フレームワークにて、種間の遺伝的配列の保存性を評価した。これらは研究計画通りであり、進捗に問題はない。
本研究成果を学会、論文へ報告する。学会報告は歯科分野のみならず人類遺伝学分野においても報告する。新聞や雑誌といったメディアを通じて成果を公表し、学術的な波及に努める。
すべて 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 5件)
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