研究課題/領域番号 |
21K10242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
奥村 敏 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60233475)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ベータ受容体 / 咬合異常 / アポトーシス / 線維化 / シグナル伝達 / 疾患モデル / サイクリックAMP / 心不全 / 心房細動 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全ならびに不整脈の有用な治療薬であるβ遮断薬は導入初期の心機能抑制と呼吸機能抑制という重篤な副作用のため、呼吸器疾患合併の頻度が高い高齢者への投与は大きな問題となっている。研究代表者はヘルペス治療薬として臨床で用いられてきたビダラビンが心臓型アデニル酸シクラーゼに選択的阻害効果を持ち、心房細動と心不全の発症を抑制することを発見し、日本、欧州、米国の特許を取得した。 本研究より、Epac1が咬合異常による心疾患の治療標的になることが明らかになれば Epac1の選択的抑制剤は cAMP産生に影響が無いため、心肺機能抑制などの副作用が無く高齢者にも安全でかつβ遮断薬と同等の心疾患治療薬となる。
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研究実績の概要 |
[目的] AC5とEpac1は密接に関連していることを我々は先行研究で明らかにしている(Cai et al. BBRC 2016)。「咬合異常(BO;Bite-opening)による心不全ならびに心房細動の発症に、AC5-Epac1経路が重要である」という仮説の検証を、野生型マウス(C57BL/6)を用いてビダラビンの慢性投与を行い検討した。 [方法] 雄16週令のC57BL/6マウスを1)コントロール(CTRL)群、2)BO群、3)ビダラビン投与群(15mg/kg/day)、4)BO+ビダラビン投与群の4群に分けた。14日間のビダラビン投与後に生理学実験(心エコー、心房細動)を行った。生理学実験終了後に心臓組織(心筋、心房)を摘出した。 [結果] 1)令和3年度に行った実験結果より、CTRL群に比較してBO群で心機能(心拍出量)は有意に低下、心臓線維化(マッソントリクローム染色)ならびにアポトーシス陽性心筋細胞(TUNEL染色)は有意な増加が見られたが、その効果はビダラビン投与で有意に抑制されていた。2)令和4年度は前年度に組織学的手法で確認されたビダラビンの心臓線維化ならびにアポトーシスに対する影響を線維化マーカー(α-SMA)、アポトーシス関連タンパク(Bax/BCL-2比)を用いてウエスタンブロッティングを用いて検証した。3)ビダラビンによる心筋保護効果として酸化ストレスが重要な役割を果たしているという仮説をたて酸化ストレス陽性心筋細胞(8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG) 免疫染色)ならびにOxiSelect TM protein kitを用いて酸化タンパク質の量を確認したところBO群で見られた酸化ストレスの増加はビダラビン投与で有意に抑制されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)AC5阻害作用を持つビダラビンにより咬合異常による心機能障害ならびに心臓線維化が抑制されていることを組織学的ならびに生化学的手法を用いて検証した。2)咬合異常に起因する心機能障害は酸化ストレスが重要な役割を演じていること、ビダラビンによる心臓保護効果のメカニズムとして抗酸化作用が重要であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、咬合異常がどのようなメカニズムで酸化ストレスを誘発しているか、ビダラビンはどのようなメカニズムで咬合異常に起因する酸化ストレスを抑制するかを明らかにする。またBOによる心房細動の発症がビダラビンならびに水溶性を高めた新規ビダラビン化合物(特許登録:5489336)で抑制されるかを検討する。
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