研究課題/領域番号 |
21K10343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
彦坂 信 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児外科系専門診療部, 診療部長 (00383844)
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研究分担者 |
杠 俊介 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10270969)
蓋 若エン 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第4室長 (30759220)
玉田 一敬 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), その他, その他 (60348688)
野口 昌彦 信州大学, 医学部, 特任教授 (80561258)
小林 眞司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (90464536)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 口唇口蓋裂 / 患者報告アウトカム / QOL / CLEFT-Q / 妥当性評価 / 反応性評価 / 質問紙 |
研究開始時の研究の概要 |
口唇口蓋裂は、日本では500人に1人の頻度で出生する、口唇・口蓋に裂を認める先天疾患である。整容・言語・咬合・心理社会面など多彩な訴えが生じる。従来の治療結果の評価は医療提供者からの視点に偏り患者視点の評価が欠け、身体・機能面に偏り心理社会面の評価が不十分であった。CLEFT-Qは、口唇口蓋裂患者のQOLなどを点数化する質問紙であり、国際標準の評価指標となりつつある。本研究ではCLEFT-Q日本語版の妥当性と反応性を評価する。CLEFT-Q日本語版が広く利用可能となることで、患者の視点からの評価が可能となり、心理社会面を含めたより包括的・全人的なケアが実現されることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、口唇口蓋裂における患者報告アウトカム(QOLや満足度などの患者自身の視点からの評価)を点数化する質問紙CLEFT-Q日本語版を、科学的エビデンスを創出するツールとして広く利用可能な状態とする基盤つくりである。そのために、妥当性・反応性評価のほか、患者の現状評価や治療有効性の評価を行っている。 妥当性評価について、2年目にあたる2022年度では、国内の5治療施設において、111名の唇顎口蓋裂患者から回答を得た。有効回答率は79.3%、回答患者111名の内訳は男72名、女39名であり、平均年齢は11.8歳であった。口唇口蓋裂の患者報告アウトカム質問紙CLEFT-Qのほか、全般的健康感を問う質問紙CHU-9D、患者自身による症状の改善および追加治療の希望の有無、家族構成や世帯収入を問う質問紙に回答を得た。さらに治療者評価アウトカムを収集した。患者自身による症状の改善および追加治療の希望の有無、および治療者評価アウトカムに基づく良好例と非良好例の群間比較では、CLEFT-Qの平均点に統計的な有意差を認めた。以上からCLEFT-Q日本語版の構成概念妥当性が確立された。 特記すべき所見として、CLEFT-Qの心理社会面の点数は、患者による言語面の症状の改善または追加治療の希望の有無と関連を認めたが、仮説と反して整容面の改善または追加治療の希望の有無とは関連が薄かった。これは新型コロナウィルス感染症の流行期において、マスク着用によって口唇外鼻が隠されていることが影響していると考えられた。この内容については、QOL-PRO研究会で発表し、現在は論文投稿準備中である。今後は、CHU-9Dに基づく基準関連妥当性評価を行う予定である。 反応性評価については、研究計画の倫理承認が完了し患者登録を開始した。目標30名に対して、現在までに3名が登録され、2名のデータ収集が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では2022年度で反応性評価の登録・治療を完了する予定であったが、現在は登録・治療が進行中の状況である。その原因は、新型コロナウィルス感染症の流行期において、患者の受診控えや、治療施設における感染症対策の厳格化により受診・治療が従来の水準よりも低く推移しているためである。その影響から2021年度の妥当性評価研究の段階から、やや遅れている状況が続いている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
妥当性評価については、解析・学会発表が完了した構成概念妥当性評価について、2023年度第一四半期に論文を投稿する。また基準関連妥当性評価については、2023年度中に完了し、発表する。 反応性評価については、当初計画の進行通り5つの治療施設において登録・治療・観察を継続する。対象となる、8歳以上口唇口蓋裂患者の治療は、夏休み期間に増える傾向にあり、2023年8月ころに登録・治療が目標30名に到達し、2024年2月頃に治療後6か月間の観察期間が完了する見通しである。2024年度中には中間解析を行い発表する予定である。
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