研究課題/領域番号 |
21K10355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
原田 侑典 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40810502)
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研究分担者 |
志水 太郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50810529)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自動問診AI / Diagnostic Excellence / 診断エラー / 自動AI問診 / 診断精度 / 診断思考理論開発 |
研究開始時の研究の概要 |
人工知能(Artificial Intelligence:AI)が自動で患者の問診を行い、鑑別診断を挙げる自動問診AIが医療現場に導入されている。自動問診AI利用による診断精度向上効果が期待されるが、利用する医師の診断思考に誤りがあれば診断精度は下がりうる。本研究では、自動問診AIを利用した際に医師の診断精度が下がる場合の原因を明らかにした上で、自動問診AIを利用した際に医師の診断精度が最大となる診断思考方法を理論化する。自動問診AIの利用によって医師の診断精度が変化する理由が分かることで、自動問診AIの有効利用に関する研究が進み、日常診療での診断の誤りや遅れが減り、医療の質の向上につながる。
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研究実績の概要 |
AIの診断精度を高める手法の検証、および医師の診断精度に影響しうる要因の探索を行った。 まず、複数の鑑別診断生成支援システムを用いることで、AI自動問診が作成した鑑別診断リストの精度を向上させることができるかを検証した。AI自動問診が作成したカルテ内容をもとに、他の2つの鑑別診断生成支援システムに情報を入力して鑑別診断リストを出力した。AI自動問診の鑑別診断リストも含めた合計3つの鑑別診断リストの中に最終診断が含まれている割合は、AI自動問診の鑑別診断リストに最終診断が含まれている割合から有意に上昇した。また、3つの鑑別診断リストすべてに1つ以上同じ診断が含まれている場合は、AI自動問診の鑑別診断リスト内に最終診断が含まれている割合が有意に上昇し、3つの鑑別診断リストに1つも同じ診断が含まれていない場合は、AI自動問診の鑑別診断リスト内に最終診断が含まれている割合が有意に低下した。これらの結果は、他の鑑別診断生成支援システムを利用することで、AI自動問診の鑑別診断リストの精度を推定することが可能であることを示唆しており、精度が低いと判断した場合には医師が改めて病歴を聴き直す必要があるが、精度が高いと判断した場合にはAI自動問診の鑑別診断リスト内に挙がった疾患に焦点を絞った診療を行うことで、全体としての診断精度が上がることが期待される。 また、医師の診断精度に影響しうる要因の探索として、大学病院総合診療科医師が外来・救急外来で診療した患者における診断エラーの頻度に関する研究を行った。結果としては、診療環境の違い(紹介か否か、通常業務時間帯か否か、など)が医師の診断精度に影響を与える可能性があるものの、その影響はさほど大きくないことが示唆されるものであった。むしろ、患者の症状・所見が典型か非典型かが診断精度により大きく影響することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医師の診断精度に影響を及ぼすAI要因、患者要因に関する研究を行ったことで、AI自動問診の利用を前提とした場合の医師の診断精度を最大化する診断思考方法の前提となる情報を得ることができ、最終的な課題検証のための準備が整ったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から、AI自動問診の診断精度を正しく見積もることができるかどうかが医師の診断精度向上に重要であること、疾患の典型度が診断精度に大きく影響を与える可能性があることが示唆されたため、これらを調整した症例問題を揃え、医師を対象としたランダム化比較試験を行い、AI自動問診の診断精度を正しく見積もることで医師の診断精度が向上するか否かを検証する。
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