研究課題
基盤研究(C)
本研究ではレセプト情報をデータベース化し糖尿病患者を抽出し縦断的に解析する手法を用いて、奈良県国保データベース(2013~2018年度、50万人)を基盤に併存疾病や薬剤等のリスク因子が透析導入に及ぼす影響を比較する。また、レセプトの情報量を活かして新たなハイリスク因子の探索を行なう。本研究によりレセプト情報から糖尿病患者の透析導入を予測できる指標を見いだし、ハイリスク患者の効率的な抽出アルゴリズムを構築できる。
本研究では、2013~2019年度の奈良県国保データベース(奈良県KDB)かつ2013~2018年度の特定健診・後期高齢者健診データベースを利用して、健診データと連結したレセプトデータ:延べ228,556人の情報を取得した。そのうち透析導入ハイリスク因子の同定に関して最も影響しうるデータの1つである「血清クレアチニン」を3回以上の健診で測定している対象者:116,409人を用いて研究を行っている。これまでの研究から腎機能を示す推定糸球体濾過量(eGFR)の経時的な低下が透析導入リスクだけでなく、死亡リスクを予測することが報告されている。2021年度の本研究成果から、短期間のeGFRの経時的な変化(eGFR slope)と透析導入リスクには“U-shape”の関連があることが分かった。そこで、2022年度はeGFRの変動係数(CVeGFR)と透析導入リスクについて検討を行った。CVeGFRは中央値 5.7%(四分位範囲 3.5-8.5%)と非正規分布を示し、CVeGFR高値例においてその後の透析導入率が高いことが分かった。そこで、CVeGFR=8.5%(第4四分位)をカットオフとしてCVeGFR≧8.5%、<8.5%の二群に分けて解析を行うと、CVeGFR≧8.5%の群において既存の透析導入リスク因子(年齢、性別、eGFR、尿蛋白、糖尿病、高血圧、高尿酸血症、貧血、冠動脈疾患、eGFR slope)と独立して透析導入率が高いことが明らかになった。また、CVeGFRと透析導入の関連は高血圧や糖尿病などの基礎疾患によって関連の程度が異なっていた。CVeGFRを活用することは、年1回実施される特定健診の情報から透析ハイリスク患者を抽出するために有効な手段と考えられる。本研究結果について、2024年4月の日本内科学会総会にて発表し、現在学術論文として論文投稿中である。
3: やや遅れている
奈良県KDBおよび健診データベースを用いた研究を継続し解析を実施している。現在、研究成果を論文投稿中である。
得られた研究成果を学術論文として発表・報告するために、論文投稿作業を行っていく。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
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