研究課題/領域番号 |
21K10481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
川田 智之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00224791)
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研究分担者 |
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
大塚 俊昭 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80339374)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | αシヌクレイン / 睡眠時無呼吸症 / 加齢 / 生物学的モニタリング / リスクアセスメント / 睡眠時呼吸障害 / バイオマーカ- / 疫学介入 |
研究開始時の研究の概要 |
αシヌクレインは,レビー小体型認知症およびパーキンソン病発症の中心的病因と考えられ,その後の病態進展の早期マーカーとして注目されている.この脳内たんぱく質は,リン酸化されて立体構造が変性(形)し,神経細胞内に蓄積されるが,脳脊髄液や血清(漿)濃度に反映することが確認されている.αシヌクレインの蓄積進展とSDB重症度との関連性や,その可逆性を「SDB介入」で検討した報告は見当たらないので,本研究では,a)持続陽圧(CPAP)治療とb)体重減少の介入成否とアウトカムを結合させ,バイオマーカーとしてのαシヌクレインおよびHMWアディポネクチン濃度の変動を検証する.
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研究実績の概要 |
今回もコロナ蔓延に伴い睡眠時呼吸障害(SDB)検査実施者への血液検査に関する説明と同意が実施できず、新たな対象設定による血漿αシヌクレイン測定と関連項目を評価した。 まず、睡眠による休養状況を問診で確認できた職域男性非喫煙集団180名に、血漿αシヌクレイン濃度を測定した。血漿αシヌクレインは対数正規分布と考えられた。睡眠で休養が取れた群の幾何平均(幾何標準偏差)は、13.8 ng/mL (2.02)、睡眠で休養が取れなかった群の幾何平均(幾何標準偏差)は13.3 ng/mL(2.28)で、両群間の平均値に有意差は見られなかった。また、加齢に伴う血漿αシヌクレイン値について、一定の増減傾向は見られなかった。50ng/mLを超えた6名の体格指数(BMI)は、小さいほうから18.3、23.3、23.4、23.5、24.4、28.5であった。 次に、生理機器(LS-140,フクダ電子)を用いてSDB検査を実施した163例(前年度データ含む)に対し、無呼吸低呼吸指数(AHI)を算出した。AHIによるSDB重症度分類で異常なし(AHI<5)51人31.3%、軽度SDB(5<=AHI<15)65人39.9%、中等度SDB(15<=AHI<30)36人22.1%、重度SDB(AHI>=30)11人6.7%であった。また、心負荷バイオマーカーである血清NT-proBNP(N-terminal pro B-type natriuretic peptide)測定を対象者の一部に実施した。NT-proBNP値の幾何平均(幾何SD)は、異常なし22.1pg/mL(2.0)、軽度SDB39.8pg/mL(2.8)、中等度SDB32.8pg/mL(2.6)、重度SDB23.3pg/mL(2.6)で、SDB軽度群が異常なし群よりも平均値が有意に高かった。差の生物学的意義の検証は今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過去2年間、コロナ感染症蔓延の影響があり、予定していた研究フィールドでの質問紙調査、および血液検体採取が実施できなかった。その代替として、過去の疫学調査データ、および検査同意の得られている付随血液サンプルを用いた血漿αシヌクレインおよびアディポネクチン測定を部分的に実施した。対象者から得られる生理学的無呼吸指標との直接リンクがかなわず、入手可能な問診による睡眠関連指標を代替的に使用した。従って、生理学的無呼吸指標と血液サンプルデータとの関連性も、十分でない状況であり、血管炎症マーカ等の限定な指標との関連性評価になってしまい、得られた研究成果も十分なものとは言えない。しかしながら、現在はコロナ感染状況がやや落ち着いており、調査の進捗を図るため、鋭意努力したいと考える。併せて、文献調査を十分に行い、得られた結果の解釈が妥当なものになる、研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
過去の年度における進捗状況にも記載したが、今年度はコロナ感染状況が収束しているうちに、可能なかぎり、当初の研究計画を進めていきたいと考える。対象サンプルの収集を踏まえて過去2か年、市販ELISAキットを用いた血漿αシヌクレイン測定が滞りなく実施できたので、今後も未測定サンプルの追加測定をし、対象者の基本特性踏まえた解析につなげたい。すなわち、血漿αシヌクレインおよびアディポネクチン濃度と睡眠指標の関連性を検討評価する。様々な代謝性共存疾患の要因となりうる睡眠時呼吸障害の特性を明らかにすることで、個別事例の問題点にも言及したい。
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