研究実績の概要 |
2022年度に実施した訪問看護ステーションでの教育に活用した調査の結果を基に,人材育成ツールの学習効果・実用性・操作性の評価を行った.その結果,教育効果と動機づけの向上がみられ,一定の学習効果があることが示唆された.一方で,実用性・操作性には課題があり,実用化においては,各ステーションの環境や特異性を考慮したICT化や学習内容を検討する必要性が明らかになった.具体的には,①教育の効果・効率を高める教育コンテンツと②教育時間の捻出のための業務のスリム化の2点が必要である.この結果については,2024年7月に開催される国際学会(NI2024)で発表予定(採択済み)である.人材育成ツール運用上の課題の解決策として,①教育コンテンツは理解や記憶力の定着に効果的な画像・動画を用いる,②これらのコンテンツを訪問看護場面で誰もが同様(情報共有)に実施できるようにするなどが挙げられた.そのため,携帯性に優れ即時閲覧を可能にする「タブレット端末を用いた画像・動画による情報共有システム」を開発した.このシステムの内容について,国際学会及び国内学会で発表した.このシステムを人材育成ツールと併せて使用することにより,訪問前の看護ケアへの準備と訪問時の看護ケアへの準備の短縮とケア時間の確保につながる可能性や,IDやARCSモデル,経験学習理論に基づく学習支援が可能となることで,個々に異なる新任看護師の学習効果を高める可能性があることが明らかになった.そのため,本研究により開発した人材育成ツールは,従来では実施されていなかった新任看護師の特徴を捉えた学習を可能にし,さらに学習効果を高める可能性があることが示唆された.さらに,この学習効果により,新任看護師の訪問時の戸惑いや不安を軽減させることができることが期待できる.本研究の人材育成ツールの開発内容は,IJLTLEジャーナルへの掲載が決定した.
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