研究課題/領域番号 |
21K11093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
舩橋 久美子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (70866061)
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研究分担者 |
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (70285542)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 大腿骨近位部骨折 / 高齢者 / 認知症 / 低栄養 / 歩行再獲得 / 要因 / 周術期 / 認知症高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,大腿骨近位部骨折で周術期にある認知症高齢者の低栄養の実態を明らかにした上で,低栄養が歩行再獲得に及ぼす影響を明らかにすることである. 令和3年度は,調査項目の検討のための国内外の文献レビューと専門家会議による調査項目の選定を行う.令和4年度は,選定した調査項目をもとに,大腿骨近位部骨折で周術期にある高齢者(認知症群と非認知症群)を対象としたパイロットスタディを実施し,調査項目の再検討を行う.令和5年度は,令和4年度の調査に基づき対象者の低栄養の実態と歩行再獲得への影響に関する疫学調査を行う.さらに,今後,介入研究へと発展させるため対象者が低栄養に至る要因に関する分析も実施する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大腿骨近位部骨折(PFF)で周術期にある認知症高齢者の低栄養の実態と歩行再獲得に及ぼす影響について明らかにすることである。 PFFで周術期にある高齢者の栄養評価の現状について全国調査を行った結果、整形外科病棟へ入院したPFF高齢者のうち34.8%が低栄養であることが明らかになった。低栄養のスクリーニングには、主観的包括的栄養評価(SGA)が最も多く用いられ、栄養評価指標は、多い順に身体計測では身長・体重・下腿周囲長が、血液検査では血清アルブミン(Alb)・総蛋白・ヘモグロビンが用いられていた。栄養評価時期における比較では、入院時のみ評価を実施する施設と比較して、入退院時に評価を実施する施設では、低栄養PFF高齢者の検出力が有意に高い現状が明らかとなった。 PFFで周術期にある高齢者の低栄養が歩行再獲得に及ぼす影響では、PFFで整形外科病棟に入院した高齢者の「退院時の歩行状態」で、歩行再獲得群と歩行不能群の2群に分けたうえで、対象者の属性・疾患情報、栄養状態との関連を調査した。その結果、認知症がなく、術後2週時点で歩行不能群よりもAlb値が高値の対象者で歩行再獲得できていたことが明らかとなった。周術期にあるPFF高齢者のAlb値の推移では、歩行不能群で入院中の変化に有意差は認められず、低値が持続した一方で、歩行再獲得群では、入院時~術後2週、入院時~退院時のAlb値の有意な減少が認められ、十分な回復には至っていなかったことが示された。さらに、体重減少率が、両群において入院時~術後2週で有意差がなかったものの、歩行再獲得群で入院時~退院時の有意な上昇が認められ、早期の歩行再獲得による活動性の拡大が、術後2週以降の体重減少をもたらした可能性が示された。 以上より、PFFで周術期にある認知症高齢者への栄養介入のためのプログラム開発の必要性が示唆された。
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