研究課題/領域番号 |
21K11275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
齊藤 百合花 帝京科学大学, 医学教育センター, 准教授 (00530099)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 蛋白複合体 / シュミットランターマン切痕 / シナプス / シュワン細胞 / 末梢神経 / シュミット・ランターマン切痕 / 髄鞘 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「加齢や構成蛋白を変化させたマウスモデルを用いて、切痕を主体にミエリンの顕微鏡で認める構造変化と実際の運動障害の関連性を明らかにし、末梢神経障害の進行度を形態に基づくステージングとして確立すること」を目的として、①切痕の構成蛋白の複合体形成様式を詳細に明らかにした上で、②切痕の構造と運動時の伸縮における影響、さらに③神経傷害後の神経再生時における切痕の関わりについて検討を行う。これらの知見は末梢神経の破綻から再生までを段階的に検討することになるため、リハビリテーションの急性期から回復期に対応する指標に繋がると考えている。
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研究実績の概要 |
運動時に筋肉へ電気信号を伝える末梢神経にのみ存在するシュミット・ランターマン切痕(以下、切痕)を主体にミエリンの顕微鏡で認める構造変化と実際の運動障害の関連性を明らかにするために、本研究開始時には切痕の構成蛋白の欠損による運動障害への検討と切痕への動的影響に関する検討を行う予定であったが、研究進行過程で解析中の蛋白が末梢神経系のみならず中枢神経系にも認められたために、当該年度では中枢神経系での検討を追加して実施した。 その結果、切痕に局在し運動障害を引き起こす可能性を示唆していたCADM4-4.1G-MPP6-Lin7蛋白複合体のうち、MPP6が分類されるMPPファミリーが中枢神経系である大脳や小脳の神経細胞のシナプスに切痕と似た蛋白複合体を形成して局在することが明らかとなった。 MPP6についてはMPP6欠損マウスの行動解析により、恐怖心の減弱傾向がみられた。また、同ファミリーのMPP2についても大脳や小脳に局在することが明らかとなり、特に不随意運動に関与する小脳においての局在を検討したところ、末梢神経の切痕と同様にLin7と蛋白複合体を形成し、MPP2の欠失によりLin7の局在が変化することが明らかとなった。さらに、同ファミリーのMPP7についても中枢神経系や末梢神経系に局在の可能性がみられたことから、MPP7欠損マウスを作製して解析を実施する予定である。 また、当初予定していた末梢神経系での切痕への動的影響に関する検討としては、予定通り4.1G欠損マウスにおいて、生体内凍結技法により末梢神経の弛緩時と伸展時の状態を維持した試料作製を終え、解析を進めている状況であり、切痕に局在する複合蛋白に関わりそうな別の蛋白についても、スクリーニング的に検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
末梢神経に限った研究を計画していたが、蛋白複合体形成分子を扱う上で、運動機能に関与する中枢神経系の神経細胞への分子の発現が明らかとなってきたため、中枢神経系の影響についても検討する必要が出てきた。 そのため、中枢神経系の検討を行ったために当初の計画からは遅れて進行しているが、予定外であった中枢神経系の解析については新たな蛋白複合体を明らかにできた等、解析は進んでいる。 また、当該前年度では当初の計画における試料作製について難航していたが、当該年度では試料作製問題を解決し、遅れてはいるものの予定通りには進行しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
Covid-19等の影響が再び発生してマウスの提供先での検討が行えない場合は、提供先の研究者に共同研究として試料を送付してもらうことも検討する。 マウスの提供先で予定通り実施できるようであれば、予定通り進行する。 また、当初からは予定外ではあった中枢神経系の検討については続行し、中枢神経系および末梢神経系に関わる可能性があるために新たに作製した欠損マウスについても加えて検討を行う。
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