研究課題/領域番号 |
21K11280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 九州女子大学 |
研究代表者 |
増田 渉 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (80295865)
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研究分担者 |
白石 美恵 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (10813727)
花沢 明俊 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (10280588)
吉野 賢一 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90201029)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 嚥下食 / 視覚的介入 / 拡張現実(AR) / 喫食率 / 拡張現実 / 普通食 / 嗜好 / 視線滞留時間 / 仮想3D映像 |
研究開始時の研究の概要 |
普通食を摂取することが困難な摂食嚥下障害者に対しては、食形態を変えた食事、すなわち嚥下調整食・嚥下訓練食品(以下、嚥下食)が適応される。嚥下食はもとの料理の形態が損なわれ、視覚的に普通食とは程遠いものとなるため、嚥下食に対する嫌悪感や拒否反応から不食や拒食を誘発する。そこで嚥下食に、普通食の3次元立体映像を仮想空間的に投影させて視覚的に回復させることで、摂食者の食欲、摂食量、栄養状態の回復が期待できるのではないかと考えた。本研究ではこの嚥下食への視覚的介入が摂食者の心理や身体に対してどのような影響を及ぼすのかについて評価する。
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研究成果の概要 |
嚥下食への視覚的介入が喫食率を改善するのかどうかについて検討した。被験者に、普通食、嚥下食、そして普通食の3D画像を拡張現実 (AR)させたタブレットを見ながらの嚥下食(嚥下食+AR)、の3種類の食事をそれぞれ摂取してもらい、喫食率を算出した。また、食事の前後に自筆式アンケートを行い、VASによる主観的評価を行った。その結果、普通食に比べ嚥下食において喫食率が有意に低下したが、嚥下食+ARでは嚥下食に比べ喫食率が有意に上昇した。そして、「味」と喫食率、「見た目」と喫食率との間に正の相関が認められた。以上の結果より、食事における視覚的要素の重要性が確認できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで嚥下食は、栄養学的な側面、味覚・嗅覚的側面、そして形状や物性等の機能的側面を中心に研究されてきた。しかし、普通食と嚥下食との間には視覚的に大きな隔たりがあるにもかかわらず、これまで視覚的な側面についてはほとんど研究されてこなかった。今回の研究結果より、食事における視覚的要素の重要性が確認できたとともに、普通食の3D 画像をAR介入させた状態で嚥下食を摂ることによって、嚥下食で低下した喫食率を回復させることができる可能性が示唆された。このことは、摂食嚥下障害者のQOLの維持・向上と健康寿命の延伸に寄与する新しい摂食嚥下リハ手段の一助となると考える。
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