研究課題/領域番号 |
21K11308
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 公立小松大学 (2022) 北見工業大学 (2021) |
研究代表者 |
橋本 泰成 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (80610253)
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研究分担者 |
大田 哲生 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20233132)
加藤 健治 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 健康長寿支援ロボットセンター, 室長 (30771216)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 脳波 / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中後のリハビリに革新をもたらす技術としてブレイン・マシン・インタフェース(BMI: Brain-Machine Interface)技術が注目されている。BMIを使えば、運動指令に呼応して電気刺激装置が他動的に筋を収縮させ、「脳から筋肉、筋肉から脳への経路」を再生し神経の回復を促進することができる。本研究では、実用化への壁となっている課題:①左右の足運動脳波識別、②訓練効果の定量化、について解決することを目指す。本研究により今後のBMIリハビリの実用化に向けた取り組みが一層促進され、脳卒中患者らの将来的な利益増大に大きく貢献できる。
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研究実績の概要 |
脳卒中後のリハビリに革新をもたらす技術として、ブレイン・マシン・インタフェース(BMI: Brain-Machine Interface)技術が注目されている。BMIを使うことで、運動指令に応じて電気刺激装置が筋肉を収縮させ、『脳から筋肉、筋肉から脳への経路』を再生し、神経の回復を促進することができる。申請者らは、これまでにベッドサイドでも利用できるBMIリハビリ装置を開発し、少人数での臨床応用に成功している。本研究課題では、実用化への壁となっている課題、すなわち(1)左右の足運動脳波識別、(2)訓練効果の定量化について解決することを目指している。本研究により、今後のBMIリハビリの実用化に向けた取り組みが一層促進され、脳卒中患者らの将来的な利益増大に大きく貢献することができると考えられる。 過去の検討により、本実験で使用する運動イメージの種類を縮小することが可能となった。本年度(令和4年度)においては、完全な実験プロトコルを確定するために、現在持っているデータを詳細に分析し、健常者1名を追加して、経頭蓋交流電気刺激前後のベータリバウンドのデータを分析することを目標として研究に取り組んでいる。また、研究代表者の所属が変更されたことから、人を対象とした研究倫理に関する書類を作成し、新たに倫理申請の手続きを進めた。2022年11月下旬には、条件付きで申請が許可されたが、匿名化や個人情報の管理方法の明確化などの条件が付けられ、現在修正方法を検討中である。さらに、最終年度である令和5年度には、BMIトレーニング後の歩行評価を予定している。そのために、協力先の国立長寿医療研究センターにある歩行用仮想現実(VR)システム(GRAIL:Gait Real-time Analysis Interactive Lab)を2022年6月に見学し、使用状況等を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載された研究計画では、健常者の脳活動レベルの半分程度を目標に、令和4年度から5年度にかけて、必要な訓練量を特定することを目指した。これにより、将来の訓練プログラムの決定に役立つ基準を確立することができる。令和4年度の研究では、3人の健常な若年者の脳波データを収集し、その分析により、安静時に比べてベータ波が60%から90%増加することが示された。この結果から、脳卒中片麻痺患者の訓練には、BMIトレーニングによって30%から45%のベータ波増加が必要であることが示唆された。 しかし、研究代表者の異動や新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定していた健常者のデータ収集は進まず、その信頼性には限界があると言わざるを得えない。さらに、異なる実験手法を用いて、1人の健常者における経頭蓋交流電気刺激前後のベータリバウンドのデータ分析を行ったが、明確な傾向は示されなかった。また、現在の測定システムには、経頭蓋交流電気刺激を組み込むことが困難であることも判明した。 研究代表者の異動に伴い、研究環境が大きく変化したため、令和4年度には、脳卒中片麻痺患者による臨床測定の計画を進めることができなかった。しかし、令和5年3月以降、積極的に近隣の医療機関や関連する研究者を訪問し、臨床測定が可能な環境を整備するための取り組みを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの検討により、本実験における運動イメージ種をある程度絞り込むことができた。完全に実験プロトコルを決定するためには、現在持っているデータをより詳細に分析するとともに、健常者でのデータ測定を6名追加する必要がある。本年度はこの測定と分析に最初に取り組む。次に、協力先の研究機関での研究倫理に関する書類を作成し、新たに倫理申請を実施する。申請が許可された段階で、患者での測定との比較対象群として同年代の健常者10名を選び、ベータリバウンドを測定・分析する。また、歩行の分析にも取り組む。最終年度で得られた成果については、学術雑誌や国際学会での発表を予定している。
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