研究課題/領域番号 |
21K11428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
黒坂 光寿 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (40553970)
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研究分担者 |
小倉 裕司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90509952)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | インターロイキン-4 / 筋芽細胞融合 / MyoD / Myogenin / Myomaker / Myomerger / 筋幹細胞 / 骨格筋 / サルコペニア / 筋タンパク質合成 |
研究開始時の研究の概要 |
サルコペニア発症には、筋タンパク質の合成の低下が関与している。筋タンパク質の合成は筋核により制御されているが、サルコペニアでは筋核数も低下し、筋タンパク質の合成の低下に拍車をかけていると推察される。最近、申請者らは、インターロイキン-4(IL-4)が筋タンパク質の合成を促進することを発見した。またIL-4は、筋核の供給を促進することが報告されている。したがって、IL-4は、筋タンパク質の合成と筋核の供給をともに改善することで、筋萎縮を抑制する可能性がある。本研究では、IL-4によりサルコペニアを抑制できるかどうかを遺伝子改変動物や遺伝子導入技術を用いて個体レベル明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度は、IL-4シグナリングが筋芽細胞融合を促進するメカニズムを細胞融合分子(myomaker、myomerger)に着目して明らかにすることを目的とした。我々は、L-4Rαをノックダウン(L-4RαKD)させた筋芽細胞を作成し、分化培地で72時間培養後に筋芽細胞融合能を評価したところ、IL-4RαKDでは融合能が有意に低下した。その際に筋特異的転写因子(MyoD、myogenin)および細胞融合因子の発現量を評価したところ、 IL-4RαKDは筋特異的転写因子およびmyomergerの遺伝子およびタンパク質発現量が有意に低下した。また、増殖培地で24時間培養後に同様の項目を評価したところ、IL-4は増殖培地でさえ筋特異的転写因子およびmyomergerの遺伝子発現量を有意に増加した。myomergerの発現は部分的にMyoDおよびmyogenin によって制御されていることが報告されている(Nikki et al., 2021)。したがって、IL-4はMyoDおよびmyogeninの発現を介してmyomergerの発現を誘導することが示唆される。myomakerは融合する両方の細胞において必要であるが、myomergerは片方の細胞でのみ発現していれば融合することが報告されている(Petrany and Millay, 2019)。そこで IL-4RαKD細胞とコントロール(Ctrl)細胞を分化培地で共培養したところ、Ctrl細胞と共培養することでIL-4RαKD細胞の融合能が有意に回復した。この結果は、IL-4がmyomergerの発現に影響を及ぼしたことを裏付ける。すなわち、IL-4RαKD細胞では、myomakerは融合するために必要な発現量を有しているが、一方でmyomergerの発現量は融合するために不十分であることが示唆された。さらに我々は、IL-4RαKD細胞にmyomergerを発現するベクターを導入し分化培地で72時間培養したところ、融合能が有意に回復した。以上の結果より、IL-4シグナリングは、MyoDおよび myogeninの発現を介してmyomergerの発現を誘導し、筋芽細胞融合を促進していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな問題もなく研究が進展しているため上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、遺伝子改変マウス(筋芽細胞特異的にEGFPを発現するマウス)を使用し、筋損傷・再生あるいは運動モデルに対してIL-4を投与し、IL-4が再生あるいは筋肥大を促進するかどうかを生体内で明らかにする予定である。
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