研究課題/領域番号 |
21K11677
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
榊原 伊織 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50734662)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 運動 / 骨格筋 / エピゲノム / 転写 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
運動はサルコペニアの予防作用を有しており、運動の骨格筋への作用機構を分子レベルで解明することは新しいサルコペニアの予防・治療薬の開発につながるため、非常に有意義である。運動の刺激は骨格筋の遺伝子発現を変化させるが、運動刺激を骨格筋の遺伝子の発現変化へと変換する分子機構には不明な点が多い。運動による転写制御には、1回の運動による一過性の転写誘導と継続的な運動による持続する転写変化に分けることができる。遺伝子発現は、転写因子とエピゲノム修飾酵素によって制御されるため、運動によって活性化される転写因子とエピゲノム修飾酵素を同定することを目的とした。
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研究実績の概要 |
高齢社会の現在、全身の筋力低下(サルコペニア)は重要課題である。運動はサルコペニアの予防作用を有しており、運動の骨格筋への作用機構を分子レベルで解明することは新しいサルコペニアの予防・治療薬の開発につながるため、非常に有意義である。運動は骨格筋の遺伝子発現を変化させるが、運動刺激を骨格筋の遺伝子の発現変化へと変換する分子機構には不明な点が多い。そこで、本研究では、運動による転写制御の分子機構を解明する解明することを目的とした。運動により誘導されるシグナルを網羅的に解析するために、運動時の骨格筋の核抽出タンパク質におけるリン酸化プロテオミクス解析を行なった。その結果、リン酸化シグナルを受けるタンパク質としてエピゲノム修飾酵素Phf2(PHD Finger Protein 2)を同定した。PHF2はヒストン3の9番目のリジン残基のメチル基(H3K9me2)を外す活性を持つエピゲノム修飾酵素であり、H3K9me2は遺伝子の転写を抑制するエピゲノム修飾であるため、PHF2は遺伝子の活性化に関わると予想される。PHF2の機能を解明するために、Phf2遺伝子の欠損したC2C12細胞に電気刺激装置(EPS)を用いたin vitroの運動モデルを用いて、遺伝子発現に与える変化を解析したところ、EPSを用いると、野生型のC2C12細胞ではMyh2の遺伝子発現が誘導されたが、Phf2 KO C2C12細胞ではEPSによるMyh2遺伝子の発現上昇が起こらないことが明らかとなった。これらの結果から、PHF2が運動による骨格筋の遅筋化を制御するエピゲノム修飾酵素であることが示唆された。続いて、Phf2の生理機能を解明するために、Phf2lox/+マウスとHSA (human skeletal actin)-Cre+マウスを掛け合わせて、骨格筋特異的なPhf2欠損マウスを作出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に遺伝子欠損マウスの作製に成功しており、本年度に生理機能の解析を行うことができるため。
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今後の研究の推進方策 |
作出したPhf2欠損マウスの生理機能の解析を行うために、Phf2欠損マウスにトレッドミル運動をさせて、骨格筋における遺伝子発現変化を解析する。
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