研究課題/領域番号 |
21K11716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
晝間 恵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 講師 (30572870)
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研究分担者 |
栗原 千枝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 助教 (90532515)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 腸粘膜Naイオン輸送 / 食塩感受性高血圧 / ナトリウム・カリウムポンプ / 食塩過剰摂取 / ouabain / 細胞間結合(タイトジャンクション) / c-Srcリン酸化 / 酪酸 / ナトリウム・カリウム(NKA)ポンプ / 細胞間隙透過性 |
研究開始時の研究の概要 |
食塩過剰摂取による高血圧発症には、過剰なNaイオンと水を尿中に排泄する腎臓の機能不全が関与することは周知である。 一方、体内循環水およびNaイオンの吸収の場である腸の高血圧発症への関与が注目されてきたが、まだ詳細は分かっていない。 申請者らは、食塩感受性高血圧ラットでは食塩摂取過剰時に腸粘膜Naイオン輸送が正常に機能しないことを報告した。 本研究では、食塩過剰摂取における腸の対処異常が高血圧発症に関与しているかを問う。 このNaイオン輸送異常の機構を、1.細胞膜Naポンプを介した能動輸送、2.細胞間隙を介する透過性の2方向から解明する。 本研究により腸をターゲットとした高血圧予防の可能性が示される。
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研究実績の概要 |
食塩過剰摂取による高血圧発症には、過剰なNaイオンと水を尿中に排泄する腎臓の機能不全が関与することは周知である。一方、体内循環水およびNaイオンの吸収の場である腸の高血圧発症への関与が注目されてきたが、まだ詳細は分かっていない。申請者らは、食塩感受性高血圧ラットでは食塩過剰摂取時に腸粘膜におけるNaイオン輸送が正常に機能しないことを報告した。 本年度は、①食塩過剰摂取により分泌が促進されるCTS(ナトリウム・カリウムポンプ (NKAポンプ)のリガンド)と腸管吸収モデルであるCaco-2細胞を用いて、(間接的)食塩刺激と腸粘膜細胞間隙透過性との関連を検討した。 培養開始14日目の分化したCaco-2細胞に、CTSの一つであるouabain(10nM:生理的濃度)を血漿側に作用させ、細胞膜抵抗値、およびFITC-Dextranの透過性を測定した結果、ouabain添加後2日目に膜抵抗値の上昇およびDextran透過性の減少が認められた。これより、ouabainは腸粘膜のバリア機能を促進することが分かった。さらに、このバリア機能促進が細胞間結合(タイトジャンクション)マーカーであるOccludinおよびClaudin-4の細胞膜上への発現増加によるものであること、ouabain添加によりc-Srcリン酸化が活性化されることを明らかにした。 ②食塩過剰摂取によるラット腸粘膜上NKAポンプの発現変化にc-Srcリン酸化が関与しているかを検討した。 高食塩過剰摂取により腸粘膜上NKAポンプの発現が減少するSDラット(コントロール)ではc-Srcリン酸化が活性化していることが分かった。一方、高食塩過剰摂取により高血圧を発症している食塩感受性(Dahl)ラットでは腸粘膜上NKAポンプ発現には変化がなく、また、c-Srcリン酸化はむしろ抑制されていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、培養細胞を用いた実験と動物実験を並行して行った。モデルであるCaco-2実験に少し時間をとり過ぎて、本題である動物実験の進行が少し遅れてしまった。 また、Caco-2細胞では容易だったタイトジャンクションマーカー発現の検出が、ラット腸粘膜筋板試料では条件検討が必要になるなど、組織試料の準備に手間取った。特に、蛍光免疫染色-共焦点レーザー顕微鏡によるタイトジャンクションマーカーの局在の検出が上手くいかず、用いる抗体の濃度や試料の調整法のさらなる検討が必要になった。 さらに、c-Srcリン酸化の検出において、免疫沈降に用いるDynabeads Protein Gと試料の量比(1サンプルに使用するDynabeads Protein Gの量を検出可能な最低限にしたいため)の検討にも時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
Dahl食塩感受性(DSS)高血圧ラットの腸粘膜細胞間隙透過性亢進のメカニズムを明らかにするべく以下の実験を進める。 ①以前、食塩過剰摂取によりSDラット腸粘膜上皮細胞間隙のNaイオン透過性は減少するが、Dahlラットでは増加すること明らかにしているが、非イオン性高分子であるDextranの透過性の変化を検討する(最初に取り組む予定だった実験)。 ②食塩過剰摂取によるタイトジャンクションマーカーの発現促進がDSSラットでは起こらないことを明らかにする(Westernblottingと蛍光免疫染色-共焦点レーザー顕微鏡:免疫染色のプロトコルを少し変更する)。 ③SDラットでの食塩過剰摂取によるタイトジャンクションマーカーの発現促進にc-Srcリン酸化が関与していること、一方、一方、DSS高血圧ラットではc-Srcリン酸化が低下していることを免疫沈降‐Westernblottingにより明らかにする。 ④上記のc-Srcリン酸化がNKAポンプを介しているかを明らかにする。食塩過剰摂取が腸粘膜細胞のc-Srcリン酸を活性化してNKAポンプのエンドサイトーシスを促進する因子が、食塩過剰摂取により分泌が促進されるCTSであることを明らかにする目的で、それぞれのラット腸粘膜試料から初代培養細胞の作製を試みる。SDラットおよびDSSラットの初代培養細胞に、げっ歯類のNKAアルファ1に親和性の高いCTSであるmarinobufageninを作用させて、細胞膜上NKAおよびタイトジャンクションマーカーの発現量とc-Srcリン酸化の変化を比較検討する。
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