研究課題/領域番号 |
21K11740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 裕滋 近畿大学, 大学病院, 講師 (00465650)
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研究分担者 |
上硲 俊法 近畿大学, 大学病院, 教授 (20233934)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | TICE / 植物ステロール / コレステロールトランスポーター / 総胆管結紮 / 小腸 / 解毒機構 / ABCG5/G8 |
研究開始時の研究の概要 |
植物ステロールには高脂血症改善作用があるが、過剰な状態では動脈硬化や胆汁鬱滞性肝障害などの生体への毒性があることが知られている。小腸はコレステロールや植物ステロールの吸収だけでなく排泄も担う臓器である。本研究は植物ステロールの生体への効能と毒性に対して小腸コレステロール排泄機構(TICE)に着目して、総胆管結紮モデルを用いることで胆管から小腸へのステロール排泄経路を遮断し、小腸におけるステロールの吸収や排泄の機構を明らかにする。食品成分である植物ステロールに対するTICEに関連する分子機構や解毒機構としての役割を解明することで小腸を標的とした高脂血症の治療応用を目標とする。
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研究実績の概要 |
2021年度はラットに大豆油、魚油、および大豆油に0.005%エゼチミブを添加した食餌を2週間摂取させたのちSham術と総胆管結紮(BDL)術を施行し72時間後に実験に供した。大豆油を摂取したラットではSham群に比較してBDL群で肝Abca1、小腸Abcg5/g8、および糞虫コレステロールの増加が認められたが、魚油や大豆油にエゼチミブを添加した食餌を摂取したラットでは増加は認められなかった。この結果から、大豆油に含まれる植物ステロールが生体内に蓄積するとTICEが増強されて生体防御的に働いている可能性が示唆された。2022年度は植物ステロール含有量の異なる油脂に植物ステロールを添加した食餌を摂取させたのち同様の実験を施行した。Sham群では大豆油群とナタネ油群共に植物ステロール添加により肝Abcg5/g8の増加が認められた。BDL群では肝Abca1が全群で誘導され、大豆油+植物ステロール群で小腸Abcg5/g8と糞中コレステロールの低下が認められたが、ナタネ油+植物ステロール群では低下は認められなかった。LDLレセプターはナタネ油+植物ステロール群以外で著明な増加が認められたことより、BDL下ではLDLレセプターおよびAbcg5/g8とTICEとの関与が示唆された。2023年度はAbcg5に変異を認めるWistar-Kyoto(WKY)ラットを用いて、ナタネ油に植物ステロールを添加した食餌を摂取させ同様の実験を施行した。ナタネ油+植物ステロール群において、BDLによりWistarラットでは認められなかった小腸Abcg5/g8の低下とLDLレセプターの増加および糞中コレステロールの低下は、WKYラットでは認められた。この結果から、BDLにより生体内に蓄積した植物ステロールを腸管へ排泄する経路(TICE)としてLDLレセプターやAbcg5/g8が関与した可能性が示唆された。
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