研究課題/領域番号 |
21K11743
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
脊戸 和寿 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (20584056)
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研究分担者 |
長尾 篤樹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (20802622)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 定数段数回路 / 多数決関数 / 充足可能性問題 / 二元体上の連立線形方程式 / 下界証明 / 回路計算量 / SATアルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,段数を定数に限定した論理回路における回路計算量の計算限界導出技法の開発と,それを利用した全探索よりも真に高速な充足可能性判定アルゴリズムの構築に取り組む.回路計算量では,どのような論理関数が特定の構造を持った回路で計算不可能なのかを明らかにしていくことで,種々の論理回路の計算能力を明らかにしていく.この研究は理論計算機科学分野において大きな未解決問題の1つであるP対NP問題の解決に向けた取り組みの1つともなる.
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研究実績の概要 |
本研究の目標は、MOD6素子(素子に入力される1の数が6の倍数のときに0を出力する素子)とAND素子、OR素子、NOT素子を用いた定数段数回路において多数決関数の非自明な下界を得ることである。これまで知られている下界証明手法の改良だけでは、この目標を達成することは難しいと考えているため、定数段数回路に対する新たな証明技法の発見・構築が1つの目標となる。 2022年度は前年度に実施した調査研究をもとに、2つの目標を立てて研究を実施した。1つ目は、AND素子、OR素子、NOT素子のみを使用した段数における多数決関数を計算するために必要な素子数の上下界の一致を目標としたが、これまでの結果を改良することはできなかった。 2つ目は、MOD2素子(素子に入力される1の数が偶数のときに0を出力する素子)を利用した多数決関数の計算方法を模索した。これについても、思うような結果は得られなかったが、既存手法の調査研究をもとに和積標準形論理式の各節を高々 k 個に制限した k-CNF と 長さに制限のない二元体上の連立線形方程式を混合させた充足可能性問題である k-SUB-SAT の決定性多項式領域アルゴリズムを構築することができた。このアルゴリズムは、k-CNF の充足可能性問題を解く有名なアルゴリズムの1つである PPZ アルゴリズムの決定性版を利用しており、PPZ アルゴリズムとほぼ同じ計算時間で動作する。乱択多項式領域アルゴリズムや決定性指数領域アルゴリズムで同様の結果は既に知られていたが、決定性かつ多項式領域のアルゴリズムはこれまで知られていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下界証明の技法については、現状ほとんど進展がない状態で本研究の最大の目標であるMOD6素子を含む定数段数回路上での多数決関数の下界証明と現在の研究状況にはまだ開きがある。その点では遅れていると言わざるを得ない。しかし、SATアルゴリズムなどの構築により定数段数でもさらに段数の小さい回路に関する知見は深まっており、当初の予定した結果は得られなかったとしても、限定した回路での下界証明には辿りつける可能性は十分にあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度が最終年度となるため、さらに限定した定数段数回路に MOD6 素子を含めた回路上での多数決関数の下界証明を中心として研究を実施する。その際に同様の回路における充足可能性問題のアルゴリズムも考えることで、アルゴリズムから下界証明を行うことも考える。 2022年度は分担者との研究打合せが十分にできていたとは言えず、その点を改善して研究を実施する。定期的なミーティングも重要であるが、それよりも数日間、集中的に議論できる時間をとって研究を実施することを計画する。
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