研究課題/領域番号 |
21K11937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 秋田県産業技術センター |
研究代表者 |
綾田 アデルジャン 秋田県産業技術センター, 電子光応用開発部, 主任研究員 (10726938)
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研究分担者 |
萩原 義裕 岩手大学, 理工学部, 教授 (80293009)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | スマート水産業 / モニタリングシステム / 深層学習 / パターン認識 / 知覚情報処理 / 磯根資源 / 支援システム / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、磯焼けなどの海況変動による資源量の減少に伴う漁獲量の減少傾向が続いている。磯根資源の持続的な利用のため、毎年潜水調査が実施されているが、多大な時間と労働を伴うことや、地域によって専門知識を持つ潜水士不足などの問題が挙げられている。そのため、低負荷かつ持続可能な調査のための仕組みが求められている。本研究では、水中ドローンを活用し、撮影データから①アワビやウニなどの魚介類の自動認識と分布実態、②沿岸環境や生物資源の維持などに大きく貢献している藻場の自動認識と分布状況、③およびその結果の管理に適した機能を持つシステムを構築し、磯根資源の持続的な発展につながるモニタリングシステムとしてまとめる。
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研究実績の概要 |
水中ドローンによる海底調査の撮影画像から磯根資源の認識を行い、その結果と調査地の位置情報や環境情報などのデータを収集・管理する機能を持つ資源モニタリングシステムの開発が本研究の主な目的である。 令和4年度は、岩手県釜石市の唐丹湾と両石湾の漁場で水中ドローンを活用した藻場の生育状況を確認するための実験的な調査を行い、水中ドローンによる藻場の映像データを収集した。1回目の調査は大雨の翌日に行われたため、海水の濁りが原因でドローンから離れた深いところに生息していた海藻の認識が難しく、近くまで寄せないと海藻を確認できなかった。2回目の調査が実施された漁場は比較的浅く、天気も良かったため水中ドローンで藻場の状況を確認しながらデータを集めることができた。 水中ドローンで撮影したデータから海藻を認識する手法を提案した。柔軟な形状を持ち海底画像に広がる海藻を認識させるために、提案手法では、通常のバウンディングボックを用いた深層学習による物体認識法ではなく、マルチラベル分類法を採用した。認識モデルの構築に必要な訓練・検証・テスト用データセットの作成にあたっては、海藻の映像データに対してマルチラベリングが実施できる専用のアノテーションアプリを開発した。作成したデータセットにコンブ、ワカメ、アカモク、アオサなど10種類以上の海藻が含まれており、提案手法は各類の海藻に対して精度よく認識することができた。 目標とするデータ管理システムに関しては、オープンソースライブラリを活用して時系列にデータを管理するシステムを開発し、その改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に実施予定だった水中ドローンによる磯根資源のデータ収集は新型コロナウィルスの影響で延期となり、当該年度に実施することになった。そのため、これまでの研究で集めた海底画像を活用していた。実際の水中ドローンを用いた藻場データの収集が遅れていましたが、調査対象としていた漁場からデータを収集することができた。集めた藻場データからデータセットを作成し、藻場認識手法の開発に使用した。 そのほかの部分に関しては予定通りに進んでおり、研究成果も学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,予定通り開発中のそれぞれのシステムに対して改善・改良を行うと同時に複数のサブシステムのインテグレーションを図る。高精度な物体認識モデルを構築するときにデータセットの質と量が重要となるため、特に藻場データセットの拡充ともに認識精度の向上に努める。データ管理システムに関しては、調査データからの認識結果と付属情報である調査位置や水温などの環境データが自動的にデータベースに記録される機能を盛り込んでいく。また、時系列データを類別に簡単に表示する方法やデータの編集や整理が容易にできる操作性を工夫しながら開発を進めて、システム全体の完成度を高めていく。 研究成果を順次に全国大会や学術雑誌で発表し、作成したデータセットを公開していく。
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